角田裕毅、9位入賞も笑顔なし…クラッチ問題で終盤失速「ハミルトンは抜けたはず」
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F1第21戦サンパウロGP決勝を9位で終えた角田裕毅(アルファタウリ)は、クラッチを含む幾つかのトラブルさえなければ、ルイス・ハミルトン(メルセデス)をオーバーテイクして8位でフィニッシュできた可能性が高いと考えている。
15番グリッドに着いた角田裕毅は、アレックス・アルボン(ウィリアムズ)とハース勢が絡む多重クラッシュの1周目を経て、一気にポイント圏内10番手に浮上する大ジャンプを決めた。
だが、その後は2度に渡ってコース外にタイヤを落とし、ピエール・ガスリー(アルピーヌ)とバルテリ・ボッタス(アルファロメオ)に先行を許すミスもあった。それでもソフトでの第1スティントでは、終盤に向けてアルピーヌやフェラーリを上回るペースを発揮し、ロスを埋め合わせていった。
そして9番手を走行していたジョージ・ラッセル(メルセデス)がオーバーヒートにより58周目にリタイアしたことで9番手に浮上。6位入賞により3点を持ち帰った前日のスプリントに続いて2点を加えた。
大逆転のレースを終え、自分のパフォーマンスに満足しているのでは?と問われた角田裕毅はため息を付き、しばらく考え込んだ後「そうですね。でも間違いなくもっとやれたはずです。チームには申し訳なく思います」と笑顔なく答えた。ミスが許せないのだろう。
「それに幾つかの問題を抱えた事で、結局最後は最大限にプッシュする事が出来ませんでした。16番手からスタートして9位でフィニッシュできたことは前向きに捉えています。チームは良くやってくれたと思います」
トラブルについて詳しく説明するよう求められると「詳細には踏み込めません。ですがかなりのロスがありました」と答えた。
これについて車両パフォーマンス部門のチーフエンジニアを務めるクラウディオ・バレストリは「残念ながらレース終盤にクラッチに問題がある可能性がある事が分かったため、クルマを確実に持ち帰るためにシフトアップのセッティングを控えめにすることにした」と説明した。
仮に問題がなければどの位置でフィニッシュできたのだろうか?
角田裕毅は「もしかすると、ルイス(ハミルトン)を捉えることはできたかもしれません。それ以外は…ピエール(ガスリー)については分かりませんが。そうですね、(ハミルトンを追い抜けた可能性は)かなり高いと思います」と答えた。
ルイス・ハミルトン(メルセデス)は角田裕毅の7秒前で8位フィニッシュした。
もう1台のAT04をドライブしたダニエル・リカルドは、1周目の事故によってリアウィングを破損。赤旗中にガレージ内での修復を余儀なくされた事で、ピットレーンから1ラップダウンのリスタートを強いられた。
早々に戦線離脱を強いられたチームメイトについて角田裕毅は「ダニエルのことは残念です。辛かったんじゃないかと思います。今日は2人揃ってポイントフィニッシュできたと思います」と語った。
アルファタウリにとってはアメリカGPから3戦連続のポイント獲得を果たした格好だ。コンストラクターズ選手権7位につけるウィリアムズとの差は7点にまで縮まった。
一連の結果について角田裕毅はプレスリリースの中で「クルマの力強いペースを示すものだと思いますし、オースティンでのアップグレード導入以降、大きな一歩を踏み出したことは間違いありません」と語る。
「3週間連続でポイントを獲得し、今は良いリズムに乗っています。この勢いをシーズン最後の2レースでも維持することが重要です」
「クルマからパフォーマンスを引き出し、ポイントを獲得し続けて、コンストラクターズ選手権で前にいるウィリアムズとの差を縮めていきたいと思います」
11月5日(日)にインテルラゴス・サーキットで行われた2023年F1第21戦サンパウロGP決勝レースでは、マックス・フェルスタッペン(レッドブル)が6台が姿を消す波乱をものともせず今季17勝目を飾った。
ラスベガス市街地コースを舞台とする次戦ラスベガスGPは現地11月17日(木)のフリー走行1で幕を開ける。