20周に渡ってジョージ・ラッセルを襲った「差し迫ったリスク」期待を打ち砕いた”酷い過ち”
Published: Updated:
ジョージ・ラッセル(メルセデス)はF1サンパウロGPの57周目にリタイヤするまでの20周に渡って、クルマが壊れるという「差し迫ったリスク」を背負い続けながらポイント圏内を走行していた。
昨年大会の決勝およびスプリントの覇者であるラッセルは、表彰台への期待を胸にブラジル入りした。チームメイトのルイス・ハミルトンは前戦メキシコGPで2位表彰台を獲得したが、ラッセルはブレーキのオーバーヒートとタイヤに苦戦した結果、8位に終わった。
再起に向けて臨んだ予選は6番手。チームメイトと並び3列目からスタートし、1周目の混乱を経て6番手に浮上すると、4周目にはランス・ストロール(アストンマーチン)を交わして5番手にポジションを上げた。
だが、ミディアムを履いた第2スティントは、チームメイトにアンダーカットされポジションを落とすところから始まり、カルロス・サインツ(フェラーリ)とピエール・ガスリー(アルピーヌ)に立て続けにオーバーテイクを許すなど、徐々に後退していった。だが悪夢は終わらなかった。
ラッセルは9番手を走行する中、残り14周を前にピットへと向かい、そのままガレージにクルマを入れた。一体何が起きたのか?
「冷却に問題を抱えていて、最後の20周はコントロールできない状況にあったんだ」とラッセルは説明した。メルセデスによると「パワーユニット・オイルの温度上昇と悪化」が原因で、ラッセルは「差し迫ったリスク」を抱えていたという。
エンジニアリング・ディレクターを務めるアンドリュー・ショブリンは「徐々に温度を制御する事ができなくなっていった」と補足した。
だが、中盤以降の後退の原因はクーリングのトラブルとは無関係だった。「パフォーマンスへの影響はなかった」とラッセルは語る。
「今週末は本当に奇妙だった。たぶん、今シーズンの中で一番遅い週末だったと思う。原因を突き止めないと。今週末には本当に大きな期待を寄せていたというのに…」
冷却トラブルがパフォーマンス低下の原因でないとするならば、一体、何がラッセルの期待を打ち砕いたのか? この点についてラッセルは次のように答えた。
「タイヤの問題だと考えざるを得ないね。だってクルマは過去4・5戦に渡って使っていたものと変わらず、そこでは何度か優勝を争ったりしていたわけで、クルマ的には勝利に足るポテンシャルを備えていたんだから」
「今週末の僕らが何か、酷い過ちを犯したのは間違いない。原因については確信はないけれど、ペースが全くなかった」
ラッセルは前日のスプリントでも、一時は2番手を走行しながら終盤に向けてペースダウンに見舞われ、最終的にはシャルル・ルクレール(フェラーリ)を相手にスタートポジションの4番手を死守するので精一杯だった。
「昨日はたまたまだと思ったけど、どうやらそうじゃなかったみたいだ」とラッセルは語る。
「これからファクトリーに戻って立て直し、最後の2レースに向けて克服する方法を見つける作業が必要だ。厳しい一日の締めくくりはリタイアだった」
5番手からスタートして8位フィニッシュしたハミルトンに触れてラッセルは「もしスタートが悪ければ、2台共にポイント圏外に終わっていたと思う」と付け加えた。
Tough day but we’ll regroup, work through what went wrong, and come back stronger for the final two races. pic.twitter.com/ZfL0izE6zX
— Mercedes-AMG PETRONAS F1 Team (@MercedesAMGF1) November 5, 2023
11月5日(日)にインテルラゴス・サーキットで行われた2023年F1第21戦サンパウロGP決勝レースでは、6台が姿を消す波乱をものともせずマックス・フェルスタッペン(レッドブル)が今季17勝目を飾った。
ラスベガス市街地コースを舞台とする次戦ラスベガスGPは現地11月17日(木)のフリー走行1で幕を開ける。