FIA同意書へのサインを拒絶するロシア人ドライバー、クビアトのWEC参戦は絶望的か
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ロシア出身のニキータ・マゼピンは結果的にハースF1のシートを失ったが、国際競技会への参加条件として国際自動車連盟(FIA)が提示した同意書「ドライバー・コミットメント」にサインする用意があるとしていた。だが、署名する事を拒否したロシア人ドライバーもいる。
FIA世界耐久選手権(WEC)やヨーロッパ・ル・マン・シリーズに参戦するGドライブ・レーシング(GDR)のロマン・ルシノフは3月5日(土)、SNSを通してFIA同意条項を「差別的」と評し、その受け入れを「拒否した」と明らかにした。
FIAのドライバー・コミットメントは10項目から成るもので、中立的な立場でのレース参加や、ロシアまたはベラルーシに対する支援表明の禁止、2022年3月1日に下された世界モータースポーツ評議会(WMSC)決定の遵守などが定められている。
ルシノフは、GDRに所属する各ドライバーは「表彰台で自国の国歌を聴く」事を目標にしており「ファン、チームメイト、そしてスポーツの利益のために、私はこの書類にサインしない。ドライブしない方がマシだ」と綴り、更には自身のみならずチームとして参戦を取り止める事を仄めかした。
その上で、目下、ロシア国内のモータスポーツ発展のための「様々なプロジェクト」を検討しているとして「スポーツ精神、そしてフェアな条件が戻って国際レースに復帰できる事を心から願っている」と付け加えた。
GDRは、ロシア・サンクトペテルブルクに本社を構える石油企業ガスプロムの子会社、ガスプロムネフチの燃料ブランド「G-Drive」の名を冠して2012年に設立されたスポーツカーチームで、ル・マン24時間レースを含むWECとヨーロピアン・ル・マン・シリーズを主戦場に活動してきた。
天然ガスの世界最大手ガスプロムはロシア政府が半数以上の株式を保有する半国営企業であり、同意書へのルシノフの対応に関わらず、レース参加は危ぶまれていた。
今季は、かつてレッドブルやトロ・ロッソでF1マシンを駆ったダニール・クビアトがジェームス・アレン、レネ・ビンダと共に、G-ドライブからLMP2クラスに参戦する事が発表されているが、チームとしての公式発表はまだないものの、ルシノフの発言を踏まえると参戦は絶望的な状況に見える。
FIAが条件付きでのレース参加を認める決定を下した事を受けクビアトは、スポーツと政治を切り離して考えるべきだと訴え、母国のウクライナ侵攻後にロシア及びベラルーシの選手が締め出される現状は「不公平」だと主張している。