ロシア軍によるウクライナ侵攻を受け真っ白なカラーリングに変更されたハースVF-22、2022年2月25日F1バルセロナテストにて
Courtesy Of Haas

FIA、条件付きでロシア人ドライバーの競技参加を許可…緊急会合を経て9つの決定事項を発表

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ウクライナへのロシア軍侵攻を受け国際自動車連盟(FIA)は3月1日(火)、緊急の世界モータースポーツ評議会(WMSC)を招集し、条件付きでのロシア人ドライバーの競技参加を含む9つの決定事項を発表した。

先週の24日(木)、ロシアのプーチン大統領が軍にウクライナへの攻撃を指示した。これに対してロシアを支援するベラルーシを含めた2カ国に対し国際社会が反発。ロシア企業や高官の資産凍結の他、ズベルバンクやVTB、オトクリティ、ノビコム、ソブコムの主要5行を国際銀行間通信協会(SWIFT)から排除する等の厳しい経済制裁を打ち出した。

ウクライナ自動車連盟(FAU)は27日(日)、F1や世界耐久選手権(WEC)などを統括するFIAに対して、両国のライセンス保持者の競技参加を認めないようとの訴えを含めた6項目を要請した。

また国際オリンピック委員会(IOC)は28日(月)、両国出身の選手及び役員を国際大会から除外するよう、FIA並びにロードレース世界選手権(MotoGP)やスーパーバイク世界選手権などを統括する国際モーターサイクリズム連盟(FIM)を含めた全ての国際競技連盟(IF)に勧告した。

こうした状況の中でFIAは、モハメド・ベン・スレイエム会長が招集したWMSC会合を経て、競技会への両国チームの参加禁止並びに両国FIAメンバーの一時的な解任を決定する一方、ドライバー、オフィシャルに関しては「FIAが掲げる平和と政治的中立の原則を遵守し、特別な誓約をした上で、中立の立場で、かつFIA旗の下でのみ国際競技会に参加」できると決定した。

これはFIA管轄の各カテゴリーの実態を考慮しての決定と考えられる。IOCは28日の勧告を決定した背景として、ロシアとベラルーシの選手は戦争状態にあっても大会に出場でき得る一方、ウクライナの選手は自国が攻撃を受けている間は出場できないと説明していた。

今季はハースのニキータ・マゼピンがF1に、そしてG-ドライブ・レーシングのダニール・クビアトが世界耐久選手権(WEC)にエントリーしている。

FIAはまた、国際競技会でのロシアまたはベラルーシの国家的シンボル(国旗や国歌など)の使用の禁止、両国での国際競技会の中止、両国のFIAメンバーに対する助成金の支払い凍結、そしてF1ロシアGPの中止を決定・承認した。

F1を含めた今季のFIA国際競技会カレンダーの最新版は、バーレーンで開催される次回のWMSCに提出され、承認される見通しだ。

ベン・スレイエムFIA会長は会合の冒頭で「ご存知のように、FIAは悲しみと衝撃をもってウクライナの動向を見守っており、現在の状況の迅速かつ平和的な解決を願っている」と語った。

「我々はロシアのウクライナへの侵攻を非難すると共に、ウクライナでの出来事によって苦しんでいる全ての人々に思いを寄せている」

マゼピンにとっては懸案事項の一つが消えた形だが、シート喪失の危機そのものが消え去ったわけではない。ハースは今週、マゼピンを資金援助しているウラルカリ社とのタイトルスポンサー契約の今後に関して何らかの決定を下すとしている。