ロシアンマネー喪失が危惧されるハースF1、買収に関心を寄せるマイケル・アンドレッティ
マイケル・アンドレッティはゼロからチームを立ち上げるより、シーズンを戦う上で必要となるインフラや機材、人材、ノウハウが既に揃っている既存チームを買収してF1に参戦したいと考えており、ハースF1チームの購入に関心を示している。
米国カナポリスのチームはロシア軍のウクライナ侵攻で揺れ動いている。タイトルスポンサーのウラルカリ社はプーチン大統領と近い関係にあるとされるニキータ・マゼピンの父ドミトリーが筆頭株主のロシア企業で、チーム代表を務めるギュンター・シュタイナーは来週、同社及びマゼピンとの今後の契約関係について何らかの決定を下す意向を示している。
シュタイナー代表によれば「資金調達の方法は幾らでもある」との事で、ウラルカリに代わる新たな資金源の目処が立っていると仄めかすなど、仮に冠スポンサーを失ってもチームの存続には「全く影響がない」と言うが、それでも程度の差こそあれ当面の事業計画に狂いが生じることは疑いない。
こうした混乱の最中にあって注目されているのが、2024年のF1参戦に向けてルノー製F1パワーユニットを確保し、統括団体の国際自動車連盟(FIA)に対してエントリー申請を提出したアンドレッティだ。
AP通信によると1991年のCARTチャンピオンは、ハースがウラルカリのブランディングをマシンから撤去してF1バルセロナテスト最終3日目に臨んだ2月25日(金)、ゼロからチームを立ち上げるよりは既存チームを購入する方が望ましいと語った。
アンドレッティはF1参戦に向け、昨年の夏にハースF1のオーナー、ジーン・ハースを含む複数のチーム代表者達と会談の場を持った事が知られているが、実際にはそれより遥か以前からハースに買収を打診し続けてきたようだ。
The Raceによるとアンドレッティは、チームを買収するために過去2年近くに渡ってジーン・ハースにコンタクトを取ってきたと明かした。その回数は本人の言葉を借りれば「何百万回」にも上ると言う。
ただしジーン・ハースは売却に一切関心を示さなかったようだ。
アンドレッティは「彼と最後に会話をしたのは、おそらく10月か11月頃だったと思うが、彼は『自分のチームが後方を走っていても気にしない、とにかく自分にはそれが合っている』と言っていた」と語った。
アンドレッティは更に、仮にハースが首を縦に振ってくれるのであれば「我々にとってかなり楽になる」とした上で、買収が実現すれば”アンドレッティ・グローバル”が2023年のF1グリッドに並ぶ可能性もあると語った。
また、大口スポンサーとの関係が不透明な状況にある現在のハースに接触する可能性はあるかと尋ねられたアンドレッティは「もし彼が電話してほしいのであれば電話するつもりだ。彼は僕の電話番号を知っているしね」と答えた。
2024年のF1エントリー申請についてFIAは新規参入者を「検討する立場にない」と述べ、またメルセデスのトト・ウォルフ代表は、参戦する以上は全ての既存チームの価値を向上させられる何かを提供すべきだと語るなど、夢の実現には幾つかの障害が立ちはだかっているだけに、アンドレッティにとってハース買収のインセンティブは決して少なくないと言える。