ロシア進軍の影響でマゼピンが降板した場合、ハースF1は誰を起用するのか?
ニキータ・マゼピンとの2022年シーズンのF1シート契約が解除となった場合、ハースF1チームは誰を後任に据えるのだろうか?
24日に開始されたロシア軍によるウクライナ侵攻を受けハースは、タイトルスポンサーのウラルカリ社との契約について来週にも何らかの決定を下す方針を示しているが、それはマゼピンの将来にも直接的な影響を与える事になる。
ロシアを本拠とするウラルカリはマゼピンの父ドミトリーが筆頭株主の化学肥料企業であり、ウラジミール・プーチン大統領と近い関係にあるとされるドミトリーは、同社を通じてシート契約の対価としてチームに資金をもたらしている。
今回の件はマゼピン本人に1mmの非もない完全にコントロール不能な出来事だ。だが、昨年1年間のチャンスを活かしていれば、あるいは金ではなく実力で生き残る可能性もあっただけに、巡ってきたチャンスを確実に活かす事の大切さを改めて思い知らされる。
仮にマゼピンがシートを失った場合、誰がチャンスを掴む事になるのだろうか?
まずはフィッティパルディ、とチーム代表
Speed City Broadcastingとのインタビューの中でハースのギュンター・シュタイナー代表は、マゼピンがドライブ出来ない状況に陥った場合はまず先に、リザーブドライバーのピエトロ・フィッティパルディに電話を掛けると説明した。
シュタイナー代表はフィッティパルディが第一候補である理由について「ピエトロが我々と常に一緒にいるのは、こういう場合に備えての事なんだ」と説明した。
「コロナ渦の影響で近年はリザーブドライバーの存在が重要だった。彼は常にチームと活動を共にしてきたから、チームやクルマの事を良く知っている」
「ある日、突然クルマに乗れと言われた場合、ピエトロの右に出る者はいない」
フィッティパルディは火災クラッシュによって負傷したロマン・グロージャンの代役として2020年シーズンの最終2戦でハースをドライブ。F1デビューを果たした。
アブダビで行われた昨シーズン末のヤス・マリーナ・サーキットでのテストでもハース「VF-21」をドライブしており、今季も引き続き米国カナポリスのチームのリザーブドライバーを務めている。
マゼピンとウラルカリの去就は来週、決定が下される。F1はその翌週にバーレーンでの2回目のプレシーズンテストを計画しており、少なくともその場ではフィッティパルディがステアリングを握る事になるのだろうが、ハースが25歳のブラジル人ドライバーをレギュラードライバーに昇格させるかどうかは分からない。
後任ドライバーのシナリオ
ではフィッティパルディ以外にはどのような候補者が考えられるだろうか?
ミック・シューマッハがまだ2年目の若手だという事実に焦点を当てれば、ベテランを起用するのが堅実だ。昨年末を以て現役を引退したキミ・ライコネンがハースをドライブする姿は想像できず、この場合はニコ・ヒュルケンベルグに勝る選択肢はないだろう。
フェラーリとの関係性を考えれば、昨年末でアルファロメオのシートを失ったアントニオ・ジョビナッツィも有力だ。これまでに何度かハースと行動を共にしているためチーム事情にも詳しく、昨年までステアリングを握っていただけに直近のレース経験が豊富だ。
同じフェラーリ子飼いのロバート・シュワルツマンという線もあるが、彼もマゼピンと同じロシア出身のドライバーであり、各国の追加制裁によるビザ発給の問題が生じる可能性が少なくない。
少々突飛な話ではあるが、スポンサーマネーとドライバーの両方を一気に失ったハースと、2024年のF1新規参入を目指すアンドレッティとの間で両者WinWinのシナリオを描く事もできる。この場合はコルトン・ハータが浮上してくるが、スーパーライセンスの問題をどうクリアするかが課題だ。
自らが抱えるジュニアドライバーの活躍の場を欲しているレッドブルやアルピーヌの若手を起用するというシナリオがあるとすれば、3年連続で異るジュニアカテゴリーを制したオスカー・ピアストリが最も有力、と言うよりは、最も見てみたいドライバーだ。