2020年F1ロシアGPの予選P1ボードに止められたメルセデスのルイス・ハミルトンのマシン
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メルセデス:ハミルトン「ソチはポールシッター的に最悪のコース」ボッタスは”3番手を望んでいた”と嘯く

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メルセデスAMGペトロナスF1チームは9月26日のF1ロシアGP公式予選で、ルイス・ハミルトンがソチ・オートドロームのコースレコードを塗り替え、キャリア通算96回目となるポールポジションを獲得。バルテリ・ボッタスは3番手につけた。ハミルトンは明日のレースをソフトタイヤで、ボッタスはミディアムタイヤでスタートする。

ハミルトンにとっては「過去最高にタフな予選」となった。Q2の1セット目のアタックで1分32秒085のトップタイムを刻むも、最終ターン18のトラックリミットでタイム抹消となり、続く2セット目のアタックはセバスチャン・ベッテルのクラッシュによる赤旗のために計測中断を強いられた。

ノータイムの暫定15番手と後がないハミルトンは、セッション再開を待つマシンがずらりと並ぶピットレーンの8番目に並んだ。残り時間は2分15秒。時間内にスタートラインに到達できるか際どい位置であったが、ハミルトンはギリギリで計測を開始。4番手でQ3に駒を進める事となった。

トト・ウォルフ代表はハミルトンのQ3進出を「神様のおかげ」と形容し「逆境に立たされたルイスが状況を立て直していく姿には毎回感心させられる」と称賛した。

初日プラクティスを制覇して、ポールポジションの期待が寄せられていたボッタスは、肝心のQ3最終アタックをまとめきれず、ハミルトンに0.563秒遅れる3番手に甘んじた。エンジニアリングディレクターのアンドリュー・ショブリンはその原因について「タイヤを正しいウインドウに入れ込めなかったようだ」と説明した。

順位 ドライバー チーム Q1 Q2 Q3
1 ルイス・ハミルトン メルセデス 1:32.983 1:32.835 1:31.304 19
2 マックス・フェルスタッペン レッドブル・ホンダ 1:33.630 1:33.157 1:31.867 21
3 バルテリ・ボッタス メルセデス 1:32.656 1:32.405 1:31.956 19
4 セルジオ・ペレス レーシングポイント 1:33.704 1:33.038 1:32.317 15

実のところ、ボッタスは3番手という結果にそれほど失望していない。なぜか? それには裏付けがあるからだ。ボッタスは2017年に3番グリッドからロシアGPをスタートし、キャリア初優勝を飾っている。

メルセデス:F1ロシアGP予選を終えて

ルイス・ハミルトン予選: 1位, FP3: 1位

覚えている限り、過去最高にタフな予選の1つだった。終始ハラハラしていたけど、みんなが冷静に対処してくれたことに心から感謝している。何しろもっと悪い結果に終わっていた可能性があるからね。

Q2の最初のトライでは、最終コーナーでトラックリミットを超えてしまったためタイムが取り消されてしまい、本当にチャレンジングだった。ビットに戻り、給油とタイヤ交換を終えて再度コースに出たけど、2度目のアタックは赤旗で妨げられてしまった。

最後のアタックに間に合うかどうかはすごく微妙だった。アウトラップの最終セクターで何台かを交わして前に出たけどルノーの後ろでタイムを失ってしまったんだ。でもボノが「行け!行け!」って言うから、スタートラインを越えるために全力で走り続けた。

混乱した状況だったから落ち着いて自分自身を見据える必要があった。今週末はバルテリの方が終始速かったから、Q3の最後のアタックで全てを出し切る他に僕に選択肢はなかった。1セット目のアタックがすごく上手くいったからこれ以上タイムを更新するのは難しいと思っていたけど、2セット目で更にタイムを削ることができた。

ポールポジションを獲得できたのは嬉しいけど、ここは最初のブレーキングポイントまでの距離が長いから、ポールからスタートする上では最悪のコースかもしれない。そういうわけでターン2までは厳しい戦いになると思う。

それにスタートで履くソフトタイヤは、最初の蹴り出しは良いけど第一スティント全体を考えると最悪のコンパウンドだから、レースそのものもチャレンジングになると思う。今夜はじっくりと検討して最善のアプローチを考えたい。

バルデリ・ボッタス予選: 3位, FP3: 2位

Q1とQ2を通してペースを掴めていたように感じていたし、どちらのセッションもスムーズだったから凄く期待していたんだけど、Q3はトリッキーだった。自己ベストを縮められたと感じていたけど、明らかにライバルの方が大きくタイムを改善していた。

タイヤが冷え過ぎていたために、Q3の1セット目のアタックはアウトラップの最終コーナーで大きくスナップしてしまい、ターン2までにコンマ数秒を失ってしまった。感触も良かったしミスしたわけでもなかったから、どうしてポールを逃したのか分からない。

いくつか疑問点があるからデブリーフィング(報告会)で詳しく調べて、何故これほど大きなギャップが生まれたのかについて原因を突き止める必要があるけど、ソチでの3番手スタートは実のところかなり良いポジションだし、タイヤ的にも正しいコンパウンドでのスタートだから楽観視している。ひょっとすると(ポールが取れなかったのではなく内心)3番スタートを望んでいたのかもね。

以前僕がここで3番手からスタートしてその後に何が起きたのかを見たらどういう事なのか分かると思う。今回も同じ事をやってみるつもりだ。勝負はこれからだ。


3ラウンドに渡って行われた予選では、ルイス・ハミルトン(メルセデス)がポールポジションを獲得。2番手にマックス・フェルスタッペン(レッドブル・ホンダ)、3番手にバルテリ・ボッタス(メルセデス)が続く結果となった。

2020年 F1ロシアグランプリ決勝レースは、日本時間9月27日(日)20時10分にスタート。1周5,872mのソチ・オートドロームを53周する事でチャンピオンシップを争う。

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