ソチ・オートドロームのコースを並んで歩くトロロッソ・ホンダのピエール・ガスリーとブレンドン・ハートレー
copyright Red Bull Content Pool

トロロッソ・ホンダ、性能と信頼性を向上させた改良型エンジンの効果や如何に? / F1ロシアGP《初日》サマリー

  • Published:

第16戦F1ロシアGPに挑んだホンダ・レーシングは、翌週に続く鈴鹿サーキットでの母国日本GPとシリーズ後半戦を見据えて、パフォーマンスと信頼性の両面の向上のために改善を施したアップグレード版パワーユニットを投入した。

ソチ郊外に特設されたオートドロームは、2014年冬季オリンピック会場に隣接したサーキット。プラクティス1は初日金曜日の午前11時から、気温23℃、路面温度26℃のドライコンディションでスタートした。

レッドブル・トロロッソ・ホンダの2台は、まずはピエール・ガスリーがウルトラソフトタイヤ、ブレンドン・ハートレーがソフトタイヤでコースインし1周を走行。その後、ハートレーもウルトラソフトタイヤに履き替え、2台揃ってセッティング作業を進めた。

ソチ・オートドロームを疾走するトロロッソ・ホンダSTR13
© Getty Images / Red Bull Content Pool、ソチ・オートドロームを疾走するトロロッソ・ホンダSTR13

実戦初走行のパワーユニット。まずはシステムチェックと車体側のセットアップを煮詰めるために、硬めのウルトラソフトとソフトで周回を重ねる事を重視した。ガスリーは25周を重ねて1分36秒944の12番手。ハートレーは28周を走破し、1分37秒944の19番手。2台合わせて全チーム最多の53周を走り込んだ。

続く午後3時からのプラクティス2では、セッション開始冒頭からハイパーソフトタイヤでアタックシミュレーションを敢行。最初のセットでガスリーは35秒665、ハートレーは36秒654と自己ベストを大幅に更新。次のセットでもガスリーが35秒137、ハートレーが36秒024と更にタイムを縮めてみせた。

2018年F1ロシアGP フリー走行1のラップタイム比較表

その後ガスリーはウルトラソフトで、ハートレーはソフトで順調にプログラムを消化し、最終的にガスリーはトップから1.752秒遅れの8番手と大健闘。ハートレーは16番手でセッションを終えた。

セッションを終えたガスリーは「自信が湧いてくる。ホンダに感謝しなきゃ」と述べ、ホンダが開発した最新鋭のパワーユニットの成果に満足感を示し、感謝の言葉を口にした。トロロッソのジョナサン・エドルズもまたスペック3を高評価。新型パワーユニットはあらゆる点においてポジティブだとの見解を示し、手応えを感じている事を伺わせた。

トロロッソ・ホンダ:F1ロシアGP初日を終えて

ピエール・ガスリーFP1: 12位, FP2: 8位

今日は全体的に前向きな一日になったよ。この前のシンガポールでかなり苦戦を強いられたから、その原因を探ってペースを取り戻す事が何より重要だったんだ。今日はその点に取り組みつつ、新しくアップグレードされたエンジンを試してみた。

スペック3は上手く機能しているように思うし、シーズン最終戦までの残されたレースを考えれば、本当に勇気づけられるエンジンだと思う。用意してくれたホンダに感謝しなきゃね。

僕らはふたりとも日曜日にペナルティを受けてグリッド後方からレースをスタートする事になるから、今週末は予選よりも決勝にフォーカスして作業に取り組んでいく予定なんだ。

ブレンドン・ハートレーFP1: 19位, FP2: 16位

日曜のレースをグリッド後方からスタートする事になるから、今日はレースペースを追求する事を再優先事項にしてたんだ。マシンから出来る限りの速さを引き出す事に集中して取り組んだ。

ソチで走ったのは今回が初めてなんだけど、あまり好きなタイプのトラックじゃなかったなあ。でも、最初の数周でかなり多くの事を学ぶ事が出来た。

FP1でちょっとしたトラブルが出てしまったから、FP2に向けてフロアを交換したんだけど、燃料を沢山積んだ状態でのロングランはかなりコンペティティブだったように思う。

FP2ではハイパーソフトタイヤの性能を最大限に引き出せずに終わってしまったけど、マシンが重い状態でのペースが良かった事を思えば、前向きな一日になったと言えるね。

田辺 豊治ホンダF1現場責任者

我々は今日、二台のマシンにアップデートされた新しいパワーユニットを搭載しました。このため、ドライバー達は日曜のレースでグリッド降格ペナルティを受ける事となります。

今日の我々の目標は、2回のフリー走行を通して実際のトラック上で新しい仕様のパワーユニットを走らせ、STR13に合わせてセッティングを最適化し、キャリブレーションすることにありました。

全体的に言えば、今日は順調で前向きな一日となったと思います。

ジョナサン・エドルズチーフレースエンジニア

パワーユニット交換の影響で、今週末はグリッド降格ペナルティーを受ける事が予め分かってたから、今回はそれに沿った計画を立ててたんだ。決勝はグリッド後方からのスタートになるから、今回のレースウイークは予選というよりもロングランやレースペースを重視して取り組んでいる。

新しいエンジンで実際のサーキットを走行するのは今回が初めてだから、パフォーマンスを引き出すために微調整やキャリブレーションを行ってセッティングの最適化に取り組んだんだが、その結果FP2の終盤には上手くまとめる事が出来たように思う。新しいPUはすべての面において良さそうだ。ホンダには感謝しかないね!

ソチ・オートドロームのターン3を通過するトロロッソ・ホンダのブレンドン・ハートレー
© Getty Images / Red Bull Content Pool、ソチ・オートドロームのターン3を通過するトロロッソ・ホンダ

FP1では空力とリアタイヤに関するテストを幾つか行いつつ、実際の走行とダイナモとの相関性を向上させるためのデータ収集に励んだ。問題なくプログラムを終える事が出来たし、結果にも手応えを感じている。ただし、FP1ではコース上が埃っぽくてグリップ力が低く、マシンバランスがかなりナーバスだったせいで、セッション終了までに完璧なバランスを引き出す事が出来なかった。

マシンのバランスとグリップの問題を解決するために、FP1とFP2の間にトラックエンジニアとオペレーションルームのエンジニアが協力してセットアップを検証してくれた。その結果見つかった解決策の中の一つに、ブレンドンがFP1でフロアに問題を抱えていた事が分かり、スペアに交換する事にしたんだ。FP2の結果を見ると上手く作用してくれたみたいだ。

ペナルティーを受けるし今回はハイパーソフトを多くチョイスしていたから、 FP2では2セットのハイパーソフトをショートラン用として使う事が出来た。マシンは予選用のセットアップじゃなかったんだけど、悪くないパフォーマンスだった。まだまだ引き出せる余地があるって事だ。

ロングランでは2台のマシンでタイヤを分ける事にした。ソフトタイヤを履いたブレンドンの方はかなり競争力があったし、保ちも良さそうで手応えを感じたよ。その一方でピエールはウルトラソフトを履いたんだが、こちらについては改善しなきゃならない点が多いね。

総合的に言えば、我々の今のパッケージは良いポジションを得られるだけのポテンシャルがあるようだし、今週末の残りの結果にも期待してるよ。


F1ロシアグランプリ3回目のフリー走行は、日本時間9月29日(土)18時から19時まで、公式予選は同21時から1時間に渡って行われる。

F1ロシアGP特集