ウィリアムズのジョージ・ラッセル、2021年4月16日F1エミリア・ロマーニャGPにて

高速下でのイモラ事故、ボッタスに「殺す気か」と激怒するジョージ・ラッセル…シートに関わる敵対心とも示唆

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雨が混乱を誘った第2戦エミリア・ロマーニャGPでは、同じメルセデス系ドライバー2名が時速300kmという高速下で激しいクラッシュを喫した。ジョージ・ラッセルのバルテリ・ボッタスに対する怒りが止まらない。

レース中盤に9位を争っていた両者。ラッセルはスリップストリームを得てボッタスの右側から仕掛けるも、タンブレロ(ターン2)を前にして衝突。デブリが大量に飛散した事でレースコントロールは赤旗を振り、両者リタイヤを喫した。怪我がない事が何よりも幸いだった。

事故の後、コックピットから抜け出たラッセルはその足でボッタスの元に向かい、激しい剣幕で非難。映像では、ボッタスが中指を立ててこれに応えるような様子が確認されている。何と声を掛けたのだろうか?

ラッセルは「僕ら二人を殺す気だったのかって聞いたんだ。とんでもない速度で走っていたのも、どんなコンディションだったのかも彼は分かっていたわけだからね」と説明した。

ラッセルは、どちらかに一方的に責任があるとは言わないが、ボッタスが、追い抜かれる際に不用意な動きをしないよう求める、いわゆるドライバー間の紳士協定を破ったとして非難した。

「僕はバルテリにものすごい勢いで近づいていった。スリップストリームもDRSもあったのに、僕が抜いた瞬間、彼はごく僅かだけど右に寄ってきた」

「これは以前問題になったディフェンス戦略だ。2015年にフェルスタッペンが同じ事をしていた。本当に危険な行為だから、今はやってはならないという紳士協定がある」

「完全なドライコンディションであれば問題なかったけど、彼のあの動きのせいで僕はウェット・パッチに追いやられてしまった。不運な出来事だけど、僕らは時速200マイルで走っているんだ。スピードとコンディションを考慮すべきだ」

ラッセルは、自分ではなく他のドライバーが追い抜こうとしていたら、ボッタスは別の行動をとっただろうと言い放った。ラッセルがメルセデスのシートを狙っているのは公然の秘密であり、ボッタスはシートを脅かされている立場にある。

「僕ら(ウィリアムズ)にとっての9位は非常に重要なものだけど、彼にとっての9位は大した意味を持たない。でも彼は、まるで優勝を懸けて戦っているドライバーがファイナルラップで見せるような動きをしたんだ」

「なぜ彼が9位のためにあんな事をしたのか疑問が残る。他のドライバーだったらしなかったかもしれない。そんな事が頭をよぎった」

なおメルセデスのトト・ウォルフ代表は、ラッセルの意味深な発言を「戯言」と一蹴し、今回のクラッシュはメルセデスチームに深刻な影響を与えかねないとの懸念を示している。

一方のボッタスもラッセルに対して譲る気配はない。一件についてボッタスは、必要なスペースは残しており、自身には一切責任がない主張した。

「僕はドライタイヤのウォームアップに苦労していた。するとジョージが近づいてきて、明らかにドライラインが1本しかない場所でオーバーテイクを仕掛けてきた」

「そこには常に2台分のスペースがあった。でも、彼のあの動きについて語る意味は何もない。彼はコントロールを失い、そして僕にぶつかってきた」

「彼とは話をしていない。(ラッセルがコースサイドでボッタスが詰め寄った時の事について)何を言っているのか全く聞こえなかったけど、あれは明らかに彼のミスだし、彼が怒る理由も理解できない」

スチュワードはレース後、ボッタスとラッセルからの聞き取り調査を行い「いずれも誤った操作をしておらず」「ラッセルのスピンはコンディションとDRSの稼働によるもの」と結論づけ、レーシングアクシデントと判断した。

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