メルセデスF1ボス、イモラ事故に関するラッセルの”匂わせ発言”を「戯言」と一蹴…マシン開発への影響を懸念
メルセデスのトト・ウォルフ代表は、バルテリ・ボッタスとの事故を巡るジョージ・ラッセルの「あの動きはシートに関わる敵対心から生まれたもの」と示唆するような発言を「戯言」だと切って捨てた。
次期メルセデスF1ドライバーの第一候補であるラッセルは、F1エミリア・ロマーニャGPの決勝レースで、ターン2に向けてアウト側からボッタスを交わそうとしたところ接触。2台は見るも無残な姿へと成り果てた。
スチュワードは一件をレーシングアクシデントとして処理したが、ラッセルとボッタスは互いに相手を非難。特にラッセルの憤りは激しく、大破したウィリアムズFW43Bから降りるとボッタスの元に向かい「殺す気か」と詰め寄った。
チェッカーフラッグが振られた後も感情の高まりが収まる事はなく、ラッセルは「なぜ彼が9位のためにあんな動きをしたのか疑問が残る。他のドライバーだったらしなかったかもしれない。そんな事が頭をよぎった」と意味深な発言を口にした。
ラッセルが2022年のメルセデスF1の候補者リストに入っている事は公然の秘密であり、対するボッタスはシートを奪われかねない立場にある。
一件ついてウォルフ代表はレース後に応じたTVインタビューの中で、”メルセデス”と言うマクロな視野で物事を見るならば「起きてはならない事態」だと述べ、責任の所在については「50対50なのか、60対40なのか、分からない」として明言を避けたが、ラッセルの非を重く見ているのは明らかだ。
独AMuSは、ラッセルの”他のドライバー”発言についてウォルフ代表が「戯言」だと一蹴し、今回の不必要なクラッシュはメルセデスチームに深刻な影響を与えかねないとのコメントを伝えた。
「正直なところ、この状況は我々にとって全く面白くないものだ」とウォルフ代表は語る。
「かなり高く付くクラッシュだ。クルマは殆ど全損であり、予算上限ルールがある状況において全く不要な事だ。おそらく計画しているアップグレードも制限を受ける事になるだろう」
F1では今シーズンより予算上限ルールが施行され、特にメルセデスのようなトップチームは必死のコスト削減を強いられている。クラッシュに伴う費用がかさめば、それだけ他の経費を削らざるを得なくなる。
なおウォルフ代表は「ジョージとはまだ会っていない。まだ(私の所へは)来ていない」と述べ、一件についてまだラッセルと直接話をしていない事を明かしている。