ピットアウトするメルセデスのジョージ・ラッセル、2020年F1サクヒールGP決勝レースにてcopyright Daimler AG

ジョージ・ラッセル、失格逃れ初入賞確定!チームに2万ユーロの罰金…メルセデス陣営に一体何が? / F1サクヒールGP

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1レース中に2度も優勝のチャンスを奪われ、悲劇のヒーローとなったジョージ・ラッセルだが、F1サクヒールGPのスチュワードが彼からキャリア初入賞を取り上げる事はなかった。

ミカ・サロら4名から成るF1サクヒールGPのスチュワードは波乱に満ちた87周のレースを終えて、タイヤ不正使用が確認されたとして、メルセデスAMGペトロナスF1チームに2万ユーロ(約252万5,500円)の罰金を科す裁定を下した。

2番グリッドからスタートしたラッセルは、1周目にポールシッターの僚友バルテリ・ボッタスを交わしてトップに浮上。初優勝に向けて順調にレースを進めていたが、残り20周というところで奈落の底に突き落とされた。

最終コーナーでクラッシュを喫したジャック・エイトケン(ウィリアムズ)のフロントウィングの回収のためにバーチャル・セーフティカーが導入されると、1-2体制のメルセデスは安牌を切って2台をピットインさせた。だがチームは誤ってラッセルにボッタス用のタイヤを履かせ、コースへと送り出した。

FIAの説明によるとこれは無線の技術的トラブルが原因で、ピットウォールからラッセル側のクルーに向けられた無線が届かなかったために発生した。同じタイミングでラッセルがメッセージを送信した事が、技術上の問題を引き起こしたようだ。その結果、ボッタス用のフロントタイヤが誤ってラッセルに装着された。これはダブルスタック(2台同時ピットイン)の中で発生した。

スチュワードはメルセデスのスポーティングディレクターを務めるロン・メドウズと、FIA-F1テクニカルデレゲートのニコラス・トンバジスからの聴取を経て「これは明らかなレギュレーション違反で、通常は競技上の違反として失格が科せられる一件」としながらも「今回のケースでは無線の問題に加えて考慮すべき状況があった」として次のように説明した。

「第一に、チームは1周以内に問題を修正した。この結果、63号車(ラッセル)は再びピットインを行い更に順位を下げた」

「第二に、77号車(ボッタス)はタイヤ交換のためにピットインしたものの、本来装着されるべきフロントタイヤが63号車に装着された事で、ピットイン前に履いていたタイヤのまま、かなりの遅れをとってコースに出る事となり、引いてはこれが77号車の最終的な順位にも影響を与えた」

「第三に、このような違反は第24条4項bで言うところの”許容3ラップ”には該当しないものの、類似すると考えられる。しかしながらその一方で、レギュレーションを遵守したタイヤの装着責任はやはりチームにある。そのためペナルティは必要と考えられる」

F1スポーティング・レギュレーションの第24条4項bでは、レースの間に異なる仕様のタイヤセットを使用した場合、3周回以内に適切なタイヤに交換する事を義務付けており、これを行わなかった場合は10秒間のストップ・アンド・ゴー・タイムペナルティを科すと定めている。

更にスチュワードは「この種の違反はF1では過去に経験したことがない」ものであり、今回のように順位を失う事なく違反が是正されるような状況が発生する可能性がある事を踏まえて、FIAに対して第24.4条bの条項の改正を検討すべき、と勧告した。

この致命的なミスによりラッセルは5番手に後退するも、悪夢は終わらなかった。

セルジオ・ペレスを先頭として69周目にリスタートを迎えると、ボッタス、ランス・ストロール、そしてエステバン・オコンを次々と交わし、あっという間にトップを走るペレスに襲いかかったが、残り10周というところでスローパンクチャーに見舞われ、再びピットインを余儀なくされてしまい15番手にまで転落した。

投げ出したい気持ちもあっただろうが、最後まで諦めることなくプッシュし続けたラッセルは9位でフィニッシュ。キャリア初ポイントを手にした。

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