レッドブル・レーシングのガレージ内で走行の様子を見守るF1のスポーティング・ディレクターを務めるロス・ブラウンとモータースポーツ・アドバイザーを務めるヘルムート・マルコ、2022年2月25日F1バルセロナテストにて
Courtesy Of Red Bull Content Pool

ロス・ブラウン「孫の面倒を見たり…」F1ディレクター退任の意向

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ロス・ブラウンは2022年シーズン末を以てF1マネージング・ディレクターの座を退きたいとの意向を明らかにした。引き続きコンサルタント的立場での関与をほのめかしつつも、事実上の引退となりそうだ。

数々の名門チームで手腕を振った英国人技術者は今年、68歳を迎える。特にミハエル・シューマッハ、ジャン・トッド共に飾ったフェラーリ時代の6回のタイトルは歴史に名を刻むものだった。

フェラーリ・チーム代表時代のロス・ブラウンとミハエル・シューマッハCourtesy Of Ferrari S.p.A.

フェラーリ・チーム代表時代のロス・ブラウンとミハエル・シューマッハ

ホンダの撤退に伴い自らの名を冠した「ブラウンGP」での2009年の選手権制覇とその後のメルセデスでのチーム代表時代を経てブラウンは、2013年末を以てF1の現場を離れた。

そして2017年にモータースポーツ担当マネージングディレクターとしてリバティ・メディア新体制のF1にカムバック。以降、チーム側ではなくシリーズ側の人間として競技面を統括してきたが、遂にその役割をも終える事になりそうだ。

ブラウンはドイツの「Sport1」とのインタビューの中で「パンデミックやウクライナ戦争が起こり、今は誰にとってもそんなに簡単な時代ではない。だから私はF1界から身を引こうとしている」と語った。

「私の経験を活かせるようにはするつもりだが、大幅に(役割を)少なくしたい。もう日々に渡って一つの分野を担当することはないだろう」

「子供や孫の面倒を見たり、釣りに行ったり、庭の手入れに時間を使うつもりだ」

プレッシャーそのものは、今よりもチームを率いる立場であったかつての方が遥かに大きいと言う。

「全く違う仕事だ。プレッシャーも違う」

「チームのために働く仕事、あるいは自分自身をリードしなければならない時が最もプレッシャーが大きい。責任重大だし、本当に過酷だ」

「今の私にはできない仕事だ。勝っても負けても感情が高ぶる。今は新しいファンづくりの手伝いをする方が楽しい。以前より女性のファンが増えた」

リバティ体制におけるブラウンの最も重要な仕事の一つはグランドエフェクトカーの導入だ。アンダーフロアのダウンフォース量を引き上げる事で接近戦を誘発するという試みは見事、成功した。

「新たなレギュレーションには本当に満足している。レースではマシン同士が接近して競い合うようになり、オーバーテイクも容易になった。すべて順調だ」とブラウンは語った。

空力ルールの刷新によりレッドブルが支配的な競争力を発揮する一方、V6ハイブリッド・ターボ時代が始まった2014年から8年間に渡って圧倒的優位性を誇っていたメルセデスは2011年以来初めて、優勝すらできない事態に陥った。

勢力図の変貌についてブラウンは、織り込み済みだとしながらも、チーム代表として自身がかつて率いたメルセデスは「馬鹿ではない」ため、トップ争いに復帰するのは時間の問題だろうと付け加えた。

「あるチームが上手くルールに適応する一方、他のチームが混乱するのはF1ではよくあることだ。我々はそうなることを予想していた」

「特にメルセデスが大きな影響を受けているが、彼らは馬鹿ではない。いずれ解決してくるだろう」