険しい表情を浮かべながらファンに手を振るウィリアムズのロバート・クビサ、F1フランスGPにてcopyright Williams Racing

ロバート・クビサ「涙した夜もあった。心のリハビリが必要だった」瀕死のラリー事故を振り返る

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今季限りでF1を退いたロバート・クビサが、9年前に起こった瀕死のラリー事故を振り返り、地獄のような苦しみの日々を過ごしてきた胸の内を明かした。曰く、自らの不幸に涙した夜もあったという。

ポーランド出身のロバート・クビサは、次期F1ワールドチャンピオン候補との高い評価を受けていたが、シーズン開幕前に参加していたロンド・ディ・アンドラ・ラリーで大クラッシュに見舞われ、右腕切断寸前の重傷を負った。

辛うじて一命を取り留めたものの、クビサの体には障害が残り、狭いコックピット内で慌ただしいステアリング操作を強いられるシングルシーターでのキャリア継続を断念。クビサは輝かしいF1の表舞台から去っていった。

クビサはこの程、母国のTVPテレビに対して「枕を濡らした日すらあった」と語り、当時の事故を振り返った。

「20年間に渡って持ち続けてきた情熱と仕事が、たった1秒で崩れ去ってしまったんだ。リハビリが必要だったのは肉体だけじゃない。メンタルの更生だって必要な状況だった。ターニングポイントになったのは、頑張る事を辞めた時だった。今の自分自身を認める事で楽になった」

ラリー競技中の事故によって選手生命を絶たれたかに思われたロバート・クビサであったが、驚異的な精神力と血の滲むような努力を重ね、2017年にルノーのF1マシンで何度かテストセッションに臨んだ後、2019年にウィリアムズから奇跡のF1復帰を果たしてみせた。

だが不運な事に、英国グローブの名門チームは今年、マシン開発スケジュールで致命的な遅れを抱え、FW42は何らの競争力を発揮する事もなく、テクニカルディレクターを務めていたパディ・ロウは事実上の引責辞任を強いられた。クビサに出来る事は殆ど何もなかった。

自らシートを降りたクビサは、2020年シーズンはDTMドイツ・ツーリングカー選手権への参戦と並行して、レーシング・ポイントF1チームの開発ドライバーとしてF1に留まる見通しが高まっている。チームオーナーのローレンス・ストロールはポーランドメディアに対して、2008年のカナダGPウィナーの精神力は、驚異的だと考えを示している。

「彼は挫折に負けたりはしていない」とストロール。「彼は転んでも起き上がる男だ。スポーツの世界だけでなく、私はこれほどまでに強い意志を持った人間には会ったことがない。まさにファイターだ」