ダニエル・リカルド、酷評からのF1復帰…短期復調の裏にかつての相棒サイモン・レニーあり
ダニエル・リカルドのアルファタウリF1復帰の背景には、レッドブル時代のかつての相棒、レースエンジニアを務めたサイモン・レニーの存在があったようだ。
サード・ドライバーとしてのレッドブル復帰後、リカルドは久しぶりにミルトンキーンズのシミュレーターに座ったが、モータースポーツ・アドバイザーのヘルムート・マルコとチーム代表のクリスチャン・ホーナーは口を揃えて酷評した。
マルコはリカルドがマックス・フェルスタッペンやセルジオ・ペレスの「レベルに達していない」と厳しい評価を下し、ホーナーは「完全な大惨事」だったと明かした。
それでもセッションを重ねる毎に調子を上げていき、6月にはマルコを満足させるだけの域にまで走りを改善させ、シルバーストンでのタイヤテストでのパフォーマンスによってニック・デ・フリースの後任としてのアルファタウリのシートを手に入れた。
復帰戦となるF1ハンガリーGPを前に、シムにおいてフェルスタッペンやペレスとの差を縮めるために具体的に何をしたのか?と問われたリカルドは、43歳のイギリス人エンジニアとの再会が役に立ったのだと説明した。
「みんな知っての通り、僕は数カ月に渡ってレースシートから離れていた。その時に去年の自分を見つめ直したら、何かが欠けていた事に気がついた」
「多分、少し自信を失っていたんだと思う。ただただイベントに参加してドライブするだけで、他の事が頭に忍び込んでくるような状況だった」
「レッドブルへの復帰はエキサイティングな事だったけど、同時に少しばかり神経質になっていたのも確かだ」
「サビを落として昔の自分を取り戻すのに少し時間がかかった」
「サイモンと一緒に取り組んだ事が大きな助けになったと思う。レッドブルでレースをしていた時に僕のエンジニアだったサイモン・レニーの事だよ。彼がシミュレーターの担当だったんだ」
「彼と一緒に仕事をする事で少し慣れてきてね。そのおかげですぐに自信を取り戻せたんだと思う」
「あとはデータを見て、このクルマに精通しているマックスとチェコから学ぼうと頑張った」
ペドロ・デ・ラ・ロサが指摘したように、5世代分の違いがあるとは言え、RB19にはリカルドがかつてドライブしたレッドブルのマシンとの共通する要素が残っていた。リカルドはこれが短期間での復調を可能にしたもうひとつの要因だと考えている。
「本当に良かったと思うのはクモの巣を振り払った事だと思う。5年ほど前と違うのは確かだけど、それでもレッドブルのマシンだと感じる事ができた」とリカルドは語る。
「当時のクルマに対して僕が好ましく思っていたものは全て、まるでDNAであるかのようにまだそこに存在しているように感じた」
「そのおかげで僕は、自分が好きな方法、望む方法でドライブし始める事ができるんだっていう自信を得る事ができたんだ」
「だからその後は順調だった。最後の仕上げはコースで実車を走らせる事だった。テストは上手くいったし良い感じだよ」