ダニエル・リカルド、”無意味”な大規模燃料セーブで「1周2秒」ものタイムロス…マクラーレン、3連戦で得たのは僅か4点
4ポイント。南米と中東を横断する過酷な3連戦を終えて、マクラーレンが手にしたものはたったこれだけだった。F1カタールGPでランド・ノリスはトップ5を手中に収めかけていたが、終盤のパンクによって無残にも奪われた。ただ、不遇を過ごしたのはダニエル・リカルドも同じだった。
予選14番手と不本意な結果に終わったリカルドは挽回を誓ってレースに臨んだものの、”無意味”に大量の燃料を節減しなければならず、1周あたり最大約2秒もの大幅なタイムロスを強いられた。詳細な調査を待つ必要があるが、何らかのシステムのエラーと考えられている。
「スタート後のかなり序盤から燃料節約をしていたんだ」とヘルメットを脱いだリカルドは説明した。
「かなり早い段階、実際には1周目だったんだけど、ダッシュに燃料警告が出ていてね。でも無視したんだ。だって(スタート直後に警告が出るのは)おかしいでしょ」
「でも、トム(レースエンジニアのトム・スタラード)から、もっとセーブしなきゃならないって言われてね。全然足らないって言うんだ。1周あたり2秒を失っていた時もあったし、ブレーキの温度は下がらずタイヤも冷えてしまい、グリップを失った。悪循環だった」
だが、どうやら燃料が足らないという情報はシステム上の不具合で、実際にはセーブする必要はなかったようだ。
「レースの半分くらいは燃料をセーブしてたんだけど、その後、トムから『もう燃料を節約するな、限界までプッシュしろ』って言われてね」とリカルドは続ける。
「今日のは明らかにシステムのエラーだった。表示数値の誤りに翻弄されてしまった」
リカルドは殆どのコーナーでリフト・アンド・コーストを余儀なくされた事を明かし「こんなに燃料をセーブしたのは初めてだし、あんなレースの序盤からやったのも初めてだった」と付け加えた。
チームとしても、やむを得ない判断だった。F1ハンガリーGPでセバスチャン・ベッテルが失格となったように、レース後に1リットルの燃料サンプルを提出できなければ、例え上位でフィニッシュしても意味がない。
ガレージには元イングランド代表のサッカー選手、デビッド・ベッカムの姿があったが、彼が英国ウォーキングのチームの幸運の女神となる事はなかった。
リカルドはグリッド上で最も笑顔を絶やさないドライバーだが、今回の件は少なからず流石に堪えたようだ。
「僕らがやっていた事はレースを放棄するようなもので何も意味がなかった。指示に従うためにやっていたと言ってもいい。最後はプッシュしたけど、既にレースは終わっていた」
リカルドは1周目を終えて16位番手にまで後退した後、なんとか挽回して12位でフィニッシュしたが、チームに持ち帰ったのはポイントではなく失望だった。
アドレアス・ザイドル代表は「通常であれば、あり得ない量の燃料をセーブしなければならなかった。原因を調査する必要がある」と述べ、改善を誓った。