フェルナンド・アロンソが2004年のF1最終3戦でドライブしたルノーR24-07 (3)
Courtesy Of RM Sothebys

ルノー、2025年末でF1エンジン活動終了…半世紀の歴史に幕

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フランスの自動車大手ルノーは、2025年シーズン末を以てヴィリー=シャティヨンでのF1パワーユニット(PU)製造を終了する。これに伴い、ルノー傘下のアルピーヌは別のメーカーのパワーユニットでレースに参戦することになる。

アルピーヌは9月30日(月)に発表した声明を通して、パリ郊外のPU開発拠点をハイテク・エンジニアリングセンター「ハイパーテック・アルピーヌ」に配置転換すると明らかにした。

1976年に始まったヴィリーでの伝統あるF1プロジェクトは幕を閉じる。ルノーは1987年と1988年、そして1998年から2000年の休止期間を除いて継続的にF1エンジンを製造してきた。

ハイパーテック・アルピーヌは2024年末までに稼働を開始する予定で、モータースポーツ分野における基盤を維持しつつ、ルノーグループおよびアルピーヌ・ブランドを対象とした以下のようなプロジェクトに取り組む予定だ。

  • 未来のアルピーヌ・スーパーカーの開発支援
  • 全固体電池を含む新しい電池化学に関するR&D
  • 新しい電動モーター技術の研究
  • WEC耐久レースやダカールラリーなど、ヴィリー=シャティヨンで管理されるモータースポーツプログラムの継続
  • F1モニタリングユニットの導入
  • 他企業向けのエンジニアリングサービスの展開

声明によるとルノーは「F1モニタリングユニット」を設立し、F1に関する「従業員の知識とスキルを維持し、革新の最前線に留まることを目標にする」という。

ヴィリーで働く300名ほどの従業員に対しては、「アルピーヌ・ハイパーテック内の新たなポジションが提案」される。

次世代PU開発は順調であるとしてヴィリーの労働組合は、F1撤退に向けた取り組みを進めるルカ・デメオCEOを含むルノーの経営陣に対し、「裏切り」「残忍」との強い表現を以て批判し、グランプリの週末や本国でストライキを重ねてきた。

地元メディアの報道によると一部の従業員は、ルノーがF1エンジンプロジェクトを廃止した場合、転職を検討すると打ち明けた。

2026年以降の次世代PU開発は中止され、2025年シーズン末を以て現行PUの製造は終了する。パドックではメルセデスPUの供給を受けると噂されているが、声明には今後のPUに関する言及はなかった。

度重なる経営陣の交代を経て、ルノー製パワーユニットを使用する唯一のチームであるアルピーヌは現在、コンストラクター選手権9位と低迷している。

ルノーはF1エンジンサプライヤーとしてこれまでに、ミハエル・シューマッハ、アラン・プロスト、セバスチャン・ベッテル、ナイジェル・マンセル、デイモン・ヒル、ジャック・ヴィルヌーヴと共に9度のドライバーズチャンピオンを獲得してきた。また、ウィリアムズ、ベネトン、レッドブルの各チームと共に10度のコンストラクターズタイトルを勝ち取った。

2005年と2006年にはルノーワークスチームとして、フェルナンド・アロンソと共に両選手権を2連覇した。