体調不良はペレスのみに非ず…強靭な精神で耐え切ったフェルスタッペン「一層、高く評価されるべき」とレッドブル・ホンダ
F1アメリカGPではセルジオ・ペレスがレース前から体調不良に見舞われ、更にはドリンクシステムが故障した事で肉体的に厳しいレースを強いられたが、フィジカルに問題を抱えていたのはレッドブル・ホンダのチームメイト、マックス・フェルスタッペンも同様だった。
日曜のオースティンは気温30度、路面40度にまで達する過酷なコンディションとなった。1周目から水分が補給できず、「サバイバルモード」で死力を尽くして結果的に3位表彰台に上がったペレスは「キャリアの中で最も過酷なレースだった」と評した。
レッドブル・レーシングのモータースポーツ・アドバイザーを務めるヘルムート・マルコはAuto Motor und Sportとのインタビューの中で、ルイス・ハミルトン(メルセデス)との死闘を制したフェルスタッペンが胃に不調を抱えていた事を明かした。
「メンタル的に余裕があったのは信じられない事だ。彼は健康状態が悪いにも関わらず、限界までクルマをプッシュし、しかも戦略まで考慮していたのだからね」
ポールシッターのオランダ人ドライバーはスタートで見事な蹴り出しを見せたハミルトンにターン1で先行を許したものの、アンダーカット狙いで早めのピットストップによってトラックポジションを取り戻した。
しかしながら先手を打った事で今度は不利な立場に追い込まれた。第2スティントで猛追するハミルトンに3.278秒差にまで迫られ、フェルスタッペンはアンダーカットを防ぐべく、29周という早い段階でのピットストップを余儀なくされた。
結果、ハミルトンはレース終盤に向けて8周分フレッシュなハードタイヤを確保し、フェルスタッペンは残り27周のロングスティントで劣勢に立たされた。
19周を走った1セット目のハードは限界に達していた。仮に2スティント目と同じ様にタイヤを使っていればハミルトンを抑え切る事は出来なかっただろうが、冷静に状況を見極め低速コーナーやストレートでの立ち上がりに際してリアタイヤをケアしつつも、抜かれないギリギリのペースを繋いでトップチェッカーを受けた。
ヘルムート・マルコは「2人のパフォーマンスは一層、高く評価されるべきだ」と付け加えた。
「マックスは呼吸法と飲料によって体調を整えた。ペレスはウォームアップラップ中に大量の水を失った。その水の飛び散り方は悪魔のようだった」
「そのため彼はその後、バラクラバ(マスク)を変えなければならなかった。そして水無しで決勝レースを戦った」