ピットストップ練習を行うレッドブル・ホンダRB16
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高まる期待…レッドブル、鬼才ニューウェイとホンダがRB16で革新的ソリューションをテスト?

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メルセデスの圧政を終わらせるべく、レッドブル・レーシングはマックス・フェルスタッペンと共に2020年のタイトル獲得に向けた準備を順調に進めている。ホンダとのエンジンサプライヤー契約によって、タイトル獲得に向けたチーム内の期待値は大きく上昇しているようだ。

2014年のハイブリッド・ターボ時代の到来と共に、ドライバー及びコンストラクター両タイトルを独占し続けたレッドブルの覇権は潰え、メルセデスが新たな時代の支配者となった。だが、ルノーからホンダへとエンジンパートナーを切り換えたミルトン・キーンズのチームは今年、2013年以来初となるタイトル獲得に並々ならぬ闘志を燃やしている。

左からレースエンジニアのジャンピエロ・ランビアス、マックス・フェルスタッペン、クリスチャン・ホーナー、2020年F1バルセロナテストにて
© Getty Images / Red Bull Content Pool、左からレースエンジニアのジャンピエロ・ランビアス、マックス・フェルスタッペン、クリスチャン・ホーナー、2020年F1バルセロナテストにて

バルセロナで行われたプレシーズンテストでは、最新型のシルバーアローが無慈悲なマイレージを稼ぎ出し、テスト5日目に発生したPUトラブルの影響でエンジン出力を大幅に抑えていたにも関わらず、バルテリ・ボッタスが最終日をトップタイムで締め括ってみせた。

テスト結果はトト・ウォルフ率いるブラックリーのチームがWタイトル7連覇に向けて力強い一歩を踏み出した事を示唆しているが、レッドブルに悲観の2文字はない。チーム代表を務めるクリスチャン・ホーナーは次のように述べ、ホンダエンジンという”最後のピース”が揃った今、チーム内の期待は大いに高まっていると主張した。

「我々は非常に強力なチームに成長したと思う。ドライバーラインナップやチーム自身、そしてこのチームが持つ強さと厚みと同じ様に、私はエンジンパートナーも重要な要素だと考えている」

「(強力なエンジンパートナーという存在は)過去数年に渡って我々に欠けていた要素だ。3勝とポールポジションを獲得した昨シーズンを経て、ホンダとの関係は本当に強固になった」

「2年目を迎えるにあたって、パワーユニットとシャシーはより一層密接に統合されている。当然のことながら我々の期待は高まっているし、今年掲げている目標は非常に高く設定した」

「幾つかの強敵や強豪がいることは分かっているが、我々にはチームとしての強さや懐の深さがあると思っているし、今年こそ一緒に(F1ワールドチャンピオンに)チャレンジしたいと思っている」

ヨス・フェルスタッペンとクリスチャン・ホーナー代表、2020年F1バルセロナテスト
© Getty Images / Red Bull Content Pool、ヨス・フェルスタッペンと話をするクリスチャン・ホーナー代表、2020年F1バルセロナテストにて

アルファタウリのピエール・ガスリーによれば、ホンダの今季型F1パワーユニット「RA620H」は昨年型よりも更に性能を上げているというが、興味深いことに、一部の欧州メディアはバルセロナテストでのホンダのエンジンサウンドに奇妙な点があった報告している。

カタロニア・サーキットのターン10はセクター3の始まりを告げるコーナーであり、全16のコーナーの中で最も鋭角かつ低速のコーナーだが、ジャーナリストのフランコ・ヌグネスはこの区間で、ホンダPUを積むRB16が他のマシンとは異なり、幾つかのバルブが開いているかのような低く連続的な音を発していた指摘した。

ヌグネスはこの事象について、レッドブルが2011年と12年に使用していたブロウン・ディフューザーを思わせるものだったとしながらも、2.4リッターV8時代と現行の1.6リッターV6ハイブリッド・ターボとでは技術的背景が大きく異なるため、今のF1でブローエフェクトを生み出すことは難しく、その可能性は無いだろうと説明。エイドリアン・ニューウェイとホンダが手を組み、革新的なソリューションを探求しているようだと伝えている。

バルセロナテストを視察するエイドリアン・ニューウェイ、2020年プレシーズンテスト3日目
© Getty Images / Red Bull Content Pool、バルセロナテストを視察するエイドリアン・ニューウェイ

なお開幕オーストラリアGPは、メルセデスとレッドブル・ホンダの一騎打ちとなるのではとの予想もあるが、クリスチャン・ホーナーはそうは考えていない。

フェラーリはバルセロナテストでSF1000のスピード不足を認めており、マッティア・ビノット代表はメルボルンでの優勝争いは難しいとの認識を示しているが、ホーナーは「過小評価するのは愚かなこと」と述べ、警戒感を解いていない。