レッドブル・ホンダ、ライバル車知るペレスのフィードバックを重視…開幕バーレーンGPに向けアップデートを準備
レッドブル・レーシング・ホンダのテクニカル・ディレクターを務めるピエール・ワシェは、レーシングポイントから新たに移籍してきたベテラン、セルジオ・ペレスのフィードバックに”大きな価値”を見出しているという。
ザウバーでのデビュー時に、チームメイトの小林可夢偉から極意を学んだとするペレスは、グリッドの中でもトップレベルのタイヤマネジメント技術を誇るドライバーとして知られ、”レースマイスター”として高く評価されており、キャリア出走190戦目を迎えた昨年のサヒールGPではペドロ・ロドリゲス以来となるメキシコ人ウィナーに輝いた。
ピエール・ワシェは開幕バーレーンGPに向けて、ペレスのフィードバックに「大きな価値を見出している」と述べ、その理由を次のように説明した。
「彼がF1デビューを飾ったザウバーチームで、私は彼と共に仕事をしていた。彼のフィードバックとマシンをドライブする能力、特にロングランにおけるペース管理とデグラデーションの低減技術は非常に優れている」
「マシンのハンドリングに関する彼のフィードバックや、我々とは正反対のコンセプトのマシンをドライブしていた彼の経験は、我々にとって貴重かつ興味深いものだった」
メルセデスと深い繋がりを持つアストンマーチン(旧レーシングポイント)は、ルイス・ハミルトン擁する英国ブラックリーのチームの風洞を使用し、ギアボックスやパワーユニットの供給を受けている。
こうしたコンポーネントはローレーキ哲学を採用するメルセデスF1マシンに最適化されているため、レーシングポイントは2020年型「RP20」の開発に際して従来のハイレーキからローレーキへとそのマシンコンセプトを切り替えた。
対してレッドブルは今季もエイドリアン・ニューウェイが生み出した伝家の宝刀ハイレーキを貫いており、両者はマシンコンセプトという点で大きく異るアプローチを採用している。
ペレスのフィードバックを含めたテストでのデータ及び知見は、3月28日に決勝レースが予定されているバーレーンGPに向けたアップデートに活かされる。
「バーレーンGPのFP1に向けた開発プロセスはテスト初日終了後にスタートする。テスト最終日まで待つことはない」とピエール・ワシェは語る。
「我々は3日間を通して多くのパーツをテストし、クルマの何が機能していて何が機能していないのかを理解しようと努めた。方向性という点で開発プロセスに修正を加え、初戦に向けて細かいアップデートを持ち込めるよう取り組んでいる」
「また、より良いバランスを実現させるため、ドライバー達にシミュレーターで作業をしてもらい現実のコースとの相関を確かめ、車内にあるツールやセットアップを使って状況が改善できるかどうかを確認している」
「コース上での何かのパフォーマンスを見て”これは改善できる”と思ったら、シミュレーター上でメカニカル面に変更を加え、実際にそれが役立つのかどうかを確認するわけだ」
改善が図られているのはシャシーだけではない。
2021年末のF1撤退を前に、HRD Sakuraの技術力とオールホンダの総力を結集して生み出されたホンダの最新型パワーユニット「RA621H」は基本設計から見直しが行われ、エクソンモービル開発の新燃料との相乗効果によるパワー及び信頼性の向上のほか、低重心・コンパクト化によって車体を含めたパッケージ全体の競争力改善が期待されている。
ピエール・ワシェはホンダ渾身の最新作が昨年型から進化を遂げていると明かす。
「我々が使用しているフルスケールのダイナモでは既に、昨年比でのパフォーマンス向上の兆候が確認されている。これはエンジン開発とエクソンモービルの新燃料の組み合わせによるものだと思う」
「全チームが車体およびパワーユニットの性能を向上させているはずだから、現段階では我々がライバルに先行しているかどうかは分からないが、冬の間にパートナー達が取り組んでくれた仕事には感謝している」
「あとはRB16Bシャシーとのコンビネーションが、このエンジニアリングレースにおいて上位に食い込めるだけの力を持っている事を願うだけだ」
F1バーレーンGPは日本時間3月26日(金)20時30分からのフリー走行1で幕を開ける。