マックス・フェルスタッペン、英国ミストンキーンズで開催された2020年F1キックオフメディア・イベントにてcopyright Getty Images / Red Bull Content Pool

レッドブル・ホンダ F1王座挑戦へ、確信へと変わる自信…飛び出す異例の勝利宣言

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間近に迫った2020年の新車「RB16」の発表とバルセロナでのF1公式テストを前に、レッドブル・ホンダのチーム内に渦巻く”自信”は、徐々に”確信”へと移り変わってきているようだ。2月3日に本拠地ミルトンキーンズで行われたメディア・イベントでは、早くも勝利宣言とも受け止められかねない発言が相次いだ。

同一規約がチャンスを生む、とホーナー代表

アレックス・アルボン、
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参加したのはチーム代表のクリスチャン・ホーナーと、レギュラードライバーを務めるマックス・フェルスタッペンとアレックス・アルボンの3名。いずれも並々ならぬ闘志と自信を口にして、歴史に新たな1ページを加えようとの強い意志を覗かせた。

鬼才エイドリアン・ニューウェイ率いるテクニカルチームの設計するマシンは繊細過ぎるためか、規約変更に弱い傾向がある。昨年が象徴的だが、テクニカル面のルールに変更が加えられたシーズンの序盤は苦戦しがちだ。だが、現行規約最後のシーズンとなる2020年は競技及び技術レギュレーションに大きな変化がない。

クリスチャン・ホーナー代表は「レギュレーションが安定的となったのは5、6年ぶりの事だが、この事実は我々にライバルとの真の戦いのチャンスを与えてくれる」と述べ、次のように続けた。

「昨年学んだすべての教訓は、RB15(2019年マシン)からRB16(2020年マシン)へと引き継がれている。また、ドライバーと技術スタッフを含むチーム体制も昨年と変わらず一貫しているため、昨季の後半戦で築き上げた勢いを出発点として、今年はより力強いチャレンジを仕掛けるのに絶好の場所にいる」

昨季型RB15は、ルノー製パワーユニットからホンダ製への過渡期に位置した不遇なマシンではあるものの、シーズン終盤にはコンスタントに勝利を掴めるまでに戦闘力を上げ、2010年代初頭のレッドブルの栄光の日々を彷彿とさせた。新車RB16はホンダPUに最適化された最初のマシンとなる。

タイトル争いを可能足らしめるのはホンダ

マックス・フェルスタッペン、英国ミストンキーンズで開催された2020年F1キックオフメディア・イベントにて
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レッドブル・ホンダは今年、V6ハイブリッド時代の絶対王者、メルセデスAMGとそのスタードライバーであるルイス・ハミルトンを打ちのめし、史上最年少F1ワールドチャンピオン記録を塗替える事を目指しているが、メルセデス以外のチームが王座を手にしたのは2013年が最後。他を圧倒するシルバーアローは今年、前人未到のダブルタイトル7連覇の偉業に王手をかけている。

ブラックリーのチームは、エンジンパワー、信頼性、車体、レース戦略など、競争力を決定づけるあらゆる要素の水準が極めて高い上に、それらが見事に統合され、全方位的な強さを誇っている。並大抵のパフォーマンスではこれを打ち破る事は難しい。

だがクリスチャン・ホーナー代表は、昨年よりタッグを組む日本のエンジンサプライヤーが、彼らへの挑戦を可能にしてくれると信じている。

「タイトル争いを可能にする大きな要因はパワーユニットだが、我々にはホンダという競争力溢れるパートナーがおり、強いモチベーションを掻き立てられている」とクリスチャン・ホーナー。

「ホンダは2019年シーズンに投じた全てのアップグレードにおいて、より高い性能とパワーをもたらすという見事な仕事をしてくれた。その結果我々は、直近のライバルに接近してきているように感じている」

昨年のホンダはパフォーマンス面で猛烈に追い上げた一方で、エンジントラブルによるリタイヤなしにシーズンを乗り切った。これはF1復帰以来初めての事であり、性能向上のために積極的に開発を進めていた事を踏まえれば、驚くべき成果と言える。

クリスチャン・ホーナーは更に「我々はホンダと緊密に協力し合いながら(マシンとPUとの)統合を進めており、モチベーションと勝利への渇望を分かち合っている。ホンダは昨年の成功を足掛かりとして次のステップに集中している」と付け加えた。

左から田辺豊治テクニカル・ディレクター、山本雅史F1マネージングディレクター、優勝したマックス・フェルスタッペン、クリスチャン・ホーナー代表、2019年F1ブラジルGPにて
© Getty Images / Red Bull Content Pool、1-2フィニッシュを決めた昨季のブラジルGPにて

レッドブル・ホンダが目標としているのは、全22戦あるレースの中で1度や2度優勝することではない。照準を合わせているのは世界一の称号であり、そのためにはメルセデスと同じように全てを高次元でまとめ上げる必要がある。

クリスチャン・ホーナーは「ドライバー、ファクトリーの技術チーム、史上最速タイムを塗り替え続けてきたピット・クルー、そして熾烈な競争力を見せつけるホンダ。我々は今、自分達が最高の状態にあると感じている。むろん時が経てば明らかになる事だが、私は自分たちが2020年に”大きな業績を挙げられる”と確信している」と語気を強めた。

これも安定したレギュレーションの為せる技だろうが、プレシーズンテスト前の段階から、ここまで踏み込んだ発言が飛び出すのも珍しい。ルール変更がないため、例年よりも動向が予想しやすいとは言え、この力強さには驚きだ。

重圧かかる接戦なら絶対に負けない、とフェルスタッペン

追い風になっているのはルールの安定性だけでない。チームは年明け7日に、フェルスタッペンとの契約延長を発表。一時はメルセデスへの移籍の可能性が取り沙汰されたが、ひとまず2023年末までレッドブルに留まる事が約束された。結束は一段と高まっている。

フェルスタッペンは「迷いは一切ないし、クエスチョンマークも存在しない」と述べ、長期契約を結ぶことは今シーズンの彼自身の計画を成し遂げる上でも極めて重要だと認めた。

「僕にとって、アストンマーティン・レッドブル・レーシングは最適なチームだ。ここには素晴らしい人々が数多くいるし、勝利やチャンピオンシップを懸けて戦う意欲と熱意も感じる事ができる。チーム内は本当に心地良い」

昨年は、シーズンを通してレースへの予想や将来への見通しについて慎重な姿勢を貫き、控えめなコメントが多かったフェルスタッペンだが、今年は何やら違うようだ。タイトル争いについては「可能だと思う」と述べ、レースが混戦になれば「確実に勝てる」と断言してみせる。

「僕らは今年、(ディフェンディング・チャンピオンである)メルセデスに挑戦したいと思ってるし、僕はそれが可能だと考えている」とフェルスタッペン。「ウインターテストの結果がどうなるかを見守る必要があるけど、重要な事は、チーム全員が並々ならぬモチベーションに溢れ、闘志を燃やしているという事だ」

「重圧がかかる状況で全てをまとめ上げるという点に関して、僕らはライバルよりも秀でていると思うから、本当に楽しみにしてる。接近して戦えるような状況になれば、僕は必ずや勝てると確信している」

アレックス・アルボン、英国ミストンキーンズで開催された2020年F1キックオフメディア・イベントにて
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今年のトップバトルではチーム同士の総力戦が予想されるだけに、チームメイトであるアレックス・アルボンの活躍も欠かせない。昨年トロロッソでF1デビューを果たしたタイ人ドライバーは今年、レッドブルでの初のフルシーズンに挑む。

「F1での2年目を迎えるわけだから、昨年と比べると学習プロセスはあまり多くはない」とアルボン。「今は微調整に重点を置いているし、それが今の僕に必要な仕事だと思ってる。自分のパフォーマンスを分析したり、上手くこなせて満足している事や、その逆に満足できていない要素を発見するという点で、この冬休みは熟考する良い機会になった」

「今年のキャンペーンをコンペティティブな状況でスタートできるかどうかの最後のピースは、チームとパワーユニットパートナーであるホンダとのコラボレーションの成功度にかかっている」


裏取りあっての自信か、それともただのビッグマウスか。全てが明らかとなる開幕オーストラリアGPまでは後40日を切っている。