レッドブル・レーシングの2022年F1マシン「RB18」のリバリー発表イベント (3)
Courtesy Of Red Bull Content Pool

巨額!レッドブルF1、オラクルとの冠スポンサー契約を発表…エンジン開発やレース戦略策定でクラウド活用

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レッドブル・レーシングは2月9日の新車「RB18」のローンチイベントの中で、アメリカ合衆国テキサス州に本拠を置くソフトウェア企業「オラクル」とのタイトルスポンサー契約を発表した。

英国ミルトンキーンズのチームは今年、「オラクル・レッドブル・レーシング(Oracle Red Bull Racing)」として2022年シーズンのF1世界選手権にエントリーする。

契約年数は公開されていないものの、年間1億ドル、日本円にして約115億円での5年長期契約と伝えられている。

昨年のF1ドライバーズタイトルの獲得を経てチームは今年、データ分析に基づくレース戦略、最適化されたエンジン開発、AIと機械学習を活用したドライバー・トレーニング、カスタマイズされたファン・エクスペリエンスなどの分野で同社のクラウド技術の利用を拡大させる。

チームは昨年、オラクル・クラウド・インフラストラクチャ(OCI)を活用する事でシミュレーション回数を従来の1,000倍へと増やして予測の精度を高めると共にコストを大幅に削減させ、計算速度を10倍に向上させた。これによりレース・ストラテジストは従来よりも時間的余裕を以てレース中に戦略的決断を下す事が可能となった。

今季はOCIによる分析データの量と種類を増やし、シミュレーションの実行速度を向上させる事で、より正確・最適なレース戦術の予測に取り組んでいく。

チーム代表兼CEOのクリスチャン・ホーナーはOCIについて「オラクル・クラウドのおかげで我々はレース当日の決断を下す事ができる。それはマックス・フェルスタッペンの2021年ドライバーズタイトル獲得の手助けとなった」と語った。

「迅速にチャンスを見出し、いち早くそれに対応することは、サーキット内外での我々の成功に不可欠な要素であって、オラクルはその取り組みに欠かせない存在であり、パフォーマンスはデータ分析によってもたらされる」

更にチームはエンジン開発、ドライバー・トレーニング、Esportsチームといった分野でもOCIを活用する。

オラクルはレッドブル・パワートレインズと協力して2026年の導入が予定されている次世代F1エンジンの開発に取り組んでいる。レッドブル・パワートレインズはOCIを通して燃焼室のモデリングを最適化し、コストを削減しながら開発を進めていく。

また、レッドブル・アドバンスト・テクノロジーズとオラクルは、将来的に世界トップクラスで活躍するドライバーの育成支援という点でも提携する。

レッドブルのジュニアドライバー達はAIと機械学習を応用したプロジェクトを通して、データと自身のドライビングとの関係性について理解を深め、どう調整すればラップタイムを短縮できるかについて学んでいく。

eスポーツの分野ではOCIを活用した分析によって、マシンのセットアップ並びにレース戦略を最適化させると共に、ドライバーにトレーニングを提供することで、あらゆる仮想トラック、あらゆるコンディションにおいて常に理想的なラップタイムが出せるよう支援していく。

更に、ファンとのコミュニケーションにおいてもOCIを役立てていくと言う。

オラクルは昨年、OCIを利用した世界初のファン・ロイヤリティ・プラットフォーム「The Red Bull Racing Paddock」を立ち上げているが、今年はUGC(ユーザー生成コンテンツ)機能を追加する等して、更にこれを発展させていく計画だ。