アルファタウリAT03を駆る角田裕毅とレッドブルRB18をドライブするセルジオ・ペレス、イモラ・サーキットで行われた2022年F1エミリア・ロマーニャGPにて
Courtesy Of Red Bull Content Pool

賭けのイモラ・アップグレードで成功を収めたレッドブルとアルファタウリ、フェラーリは次戦マイアミで逆襲か

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レッドブルとアルファタウリは共に、イモラ・サーキットに持ち込んだアップグレードが成果を上げたと考えている。両者は予選前のプラクティスが僅か1時間しかないF1エミリア・ロマーニャGPでマシンに改良を加えた。

レッドブルは週末を通してフェラーリのホームグラウンドでライバルを打ちのめした。マックス・フェルスタッペンは予選、スプリント、決勝の全てを制し、セルジオ・ペレスが2位表彰台に上がった事で、チームは6年ぶりの1-2フィニッシュを飾った。

6年ぶりの1-2フィニッシュを祝うレッドブルのマックス・フェルスタッペンとセルジオ・ペレス、メンバー一同、2022年4月24日F1エミリア・ロマーニャGPCourtesy Of Red Bull Content Pool

6年ぶりの1-2フィニッシュを祝うレッドブルのマックス・フェルスタッペンとセルジオ・ペレス、メンバー一同、2022年4月24日F1エミリア・ロマーニャGP

強力なパフォーマンスの背景にはアップグレードがあった。チームは週末に向けてRB18のフロア前方のキールにウィングレットを追加し、冷却性能を強化させたリアブレーキを持ち込むと共に、約3kgの軽量化を実施した。

空力的に最も大きいのはキール、いわゆる「ティートレイ」の前方に追加されたウィングレットだ。このエリアはフロア下のベンチュリートンネルに向かう気流を調整する重要な役割を担っているが、ウィングレットによってダウンフォースが追加され、マシン全体の空力的な中心点が前方に移動する事になる。

テストと検証、調整のための時間は1時間しかない。下手をすれば逆に競争力を落とす可能性もある。イモラでの投入は攻めの姿勢の表れだった。

レッドブルのモータースポーツ・アドバイザーを務めるヘルムート・マルコは、そんな危険性がある事を承知で敢えてアップグレードを導入する事によって「勇気を示す事が重要だった」として、それによって成功を収めたからこそ「エアロダイナミストを表彰台に上がらせたのだ」と説明した。

表彰台の上で優勝コンストラクター・トロフィーを掲げるレッドブルのエアロダイナミクス責任者を務めるエンリコ・バルボ、2022年4月24日F1エミリア・ロマーニャGPCourtesy Of Red Bull Content Pool

表彰台の上で優勝コンストラクター・トロフィーを掲げるレッドブルのエアロダイナミクス責任者を務めるエンリコ・バルボ、2022年4月24日F1エミリア・ロマーニャGP

前戦オーストラリアGPを終えた段階でレッドブルは、燃料系トラブルによって3度のリタイヤを喫し、首位フェラーリに倍近い差を付けられ3位に甘んじていた。それだけに、巻き返しはかなり困難な状況であったがマルコは決して望みを捨てていなかった。

「あらゆる可能性が残っている事について疑いの目を向けた事は一度もなかった。我々には2人の強力なドライバーがいる。ペレスはどんどん良くなっているし、将来を楽観視している」とマルコ。

「常に自信を持っているが、クルマの信頼性が最大の問題だった。それが解決された事を願っている」

レッドブルはイモラでの週末を終えるとコンストラクターズ選手権2位に浮上し、チャンピオンシップリーダーとの差を僅か11ポイントにまで縮めたが、フェラーリも指を加えて黙っているつもりはない。

イモラで唯一、アップグレードを投じなかったマラネロのチームは、トップスピードの改善を目的として空力効率を向上させたリアウィングと、ポーパシングを緩和するための改良型フロアを次戦マイアミGP、あるいは翌スペインGPで投入する計画を立てているとみられている。

優勝トロフィーを手に記念撮影に臨むレッドブルのマックス・フェルスタッペン、2022年4月24日F1エミリア・ロマーニャGPCourtesy Of Red Bull Content Pool

優勝トロフィーを手に記念撮影に臨むレッドブルのマックス・フェルスタッペン、2022年4月24日F1エミリア・ロマーニャGP

エミリア・ロマーニャに最も大掛かりなアップグレードを持ち込んだのは、イモラから程近いファエンツァに本拠を構えるアルファタウリだった。AT03には車高変化のウインドウを広げるための改良型のフロアと、後方気流改善のためのフロントブレーキダクト、そして新型ディフューザーが投入された。

ピエール・ガスリーは苦戦を強いられ続けたものの、角田裕毅はスプリントと決勝を通してフィールドを駆け上がっていき、今季ベストの7位フィニッシュを勝ち取った。

フランツ・トスト代表はアップグレードが期待どおりに機能したとの認識を示し、開発に尽力したファエンツァ及びバイチェスターのメンバーに感謝の言葉を投げかけた。

「今回導入した新しいアップグレードは上手く機能していたと思う。あとはクルマを微調整して、両ドライバーが着実にポイントを獲得できるようにしていきたい」

「今日の成功に貢献してくれたファエンツァとバイチェスターのチーム全員に心からお礼を言いたい」

FIA記者会見に出席したスクーデリア・アルファタウリのフランツ・トスト代表、2022年4月23日F1エミリア・ロマーニャGPCourtesy Of Red Bull Content Pool

FIA記者会見に出席したスクーデリア・アルファタウリのフランツ・トスト代表、2022年4月23日F1エミリア・ロマーニャGP

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