
8億人を突破…数字で見る驚異的なF1人気、2025年は観客もファンも史上最多
F1世界選手権発足75周年を迎えた2025年シーズンは、興行面でも記録的な成功を収めた。年間の総観客動員数は史上最多の670万人に達し、全24戦中19戦でチケットが完売した。
さらにF1の年次レポートによれば、世界のファン数は日本総人口の7倍弱に相当する8億2700万人に拡大し、年間を通して開催されるスポーツとしてはNBAを上回る世界最大規模に成長した。
最終戦までもつれ込んだ3つ巴のタイトル争いを制したのは、ランド・ノリス(マクラーレン)。自身初のドライバーズチャンピオンを獲得し、英国人としては11人目の王者となった。マクラーレンはコンストラクターズ選手権の連覇を果たした。
全24戦で7チーム・9名のウィナーが誕生し、表彰台の顔ぶれも多彩だった今季は、コース上の激戦と並び、F1人気の加速が鮮明となった一年だった。
Courtesy Of McLaren
チームメンバーに胴上げされるランド・ノリス(マクラーレン)、2025年12月7日F1アブダビGP決勝レース(ヤス・マリーナ・サーキット)
ファン数、2018年比63%増の勢い
F1の人気拡大は数字で裏付けられている。2025年の全世界ファン数は前年比12%増、2018年比では63%増に達した。
特筆すべきは、ファン層の構造的な変化だ。ファンの43%が35歳以下で、新規ファンの57%をこの層が占める。また、女性ファンは全体の42%に達し、2018年の37%から大幅に増加。今年の新規ファンのほぼ半数(48%)が女性だった。
地域別では、欧州で1億1540万人、英国で1670万人、中国で2億2110万人、インドで7880万人のファンを抱えるなど、世界中で拡大を続けている。
11大会で動員記録更新、テレビ視聴も好調
Courtesy Of Sauber Motorsport AG
観客席前のメインストレートを走行するガブリエル・ボルトレートのザウバーC45、2025年10月17日(金) F1アメリカGPフリー走行(サーキット・オブ・ジ・アメリカズ)
サーキット来場者数も急増した。イギリスGP(50万人)やオーストラリアGP(46万5000人)など、11大会で動員記録が更新された。
テレビ視聴も好調で、24戦中18戦で前年比増を記録。世界平均週末視聴者数は約7000万人で、前年から増加した。
ベルギーGPはシーズン最多となる8000万人超が視聴。これにはスプリント開催の影響も大きく、マイアミでは前年比21%増、ベルギーでは30%増を記録した。ファンの78%がスプリント週末をカレンダーに残すことを望んでおり、2027年にはスプリント開催数が拡大される見通しだ。
アメリカ市場、ファン数21%増で拡大続く
アメリカ市場の拡大も顕著だった。ファン数は前年比11%増の5200万人に到達し、テレビ視聴者数は21%増と大きく伸びた。
YouTubeの視聴回数やSNSフォロワー数でも米国は最大市場となっており、アメリカGP、ラスベガスGP、マイアミGPという3大会開催の効果が如実に表れている。
映画『F1』、スポーツ映画史上No.1の興行成績
Courtesy Of WARNER BROS. ENT
ブラッド・ピット主演のF1映画『F1/エフワン』のシーン (5)
2025年を象徴する出来事の一つが、映画『F1 The Movie(邦題:F1/エフワン)』の成功だ。ブラッド・ピット主演の同作は、1900人規模のスタッフが製作に関与し、14のグランプリ期間中に撮影された。
6月の公開以降、世界興行収入6億3000万ドル(約994億円)を突破し、史上最高の興行成績を記録したスポーツ映画となった。臨場感あふれる映像は、F1の魅力を新たな層に届ける強力な起爆剤になったと言えそうだ。
LVMHなど巨大ブランドが続々参入
こうした人気拡大を背景に、スポンサーシップの規模も拡大した。
2025年はLVMHグループ(ルイ・ヴィトン、タグ・ホイヤー等)との10年契約がスタートしたほか、サンタンデール銀行、アメリカン・エキスプレス、LEGO、キットカット(ネスレ)など、異業種のトップブランドが続々とパートナーに加わった。
F1のブランド価値向上を象徴するかのように、パートナー数は2020年の12社から31社へと約3倍に増加している。
一方で、F1は2030年のネットゼロ達成に向けた取り組みも継続。2018年比で総排出量を26%削減し、施設運営や物流、イベント運営など各分野で成果を上げている。
キャデラックとアウディの参戦、そしてホンダが正式復帰を果たす2026年は、車体とパワーユニット双方の技術規則が刷新され、各チームの勢力図がリセットされるエキサイティングなシーズンが期待されている。これがF1人気にどう影響するか、注目される。
