ホンダF1の現場統括責任者を務める田辺豊治テクニカル・ディレクターとレッドブル・レーシングのヘルムート・マルコ
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レッドブル・ホンダ、”シーズン5勝”の目標達成ならず…何が問題だったのか?

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レッドブル・レーシングのモータースポーツ・アドバイザーを務めるヘルムート・マルコは、2019年シーズンの目標として「5勝」という具体的な数字を挙げていたが、ミルトンキーンズのチームと日本のエンジンサプライヤーの混合チームが実際に成し遂げたのは、オーストリア、ドイツ、そしてブラジルでの3勝に過ぎなかった。

仮にダニエル・リカルドがチームに留まっていれば、、との考えもあろう。マックス・フェルスタッペンとリカルドは2018年にそれぞれ2勝を達成しており、その腕前はほぼ互角。レッドブル・ホンダの今季3勝の全てが若きオランダ人によるものであった事考えれば、ドライバーラインナップの弱さが5勝に届かなかった一因である事は否定し難い。

とは言え、ヘルムート・マルコが「5勝」を口にしたのは今季開幕前であり、レッドブルのご意見番は、ガスリーとフェルスタッペンのコンビで5勝を挙げる事を予想していたのだ。なぜ目標数値に届かなかったのか? ヘルムート・マルコはその理由を、地元オーストリアのメディアに対して次のように説明した。

「我々はポテンシャルを発揮しきれず、それ以下に留まってしまった。本来であれば5勝は可能だったはずだ。一方ではクラッシュのような不運な出来事が起こってしまい、他方では、シャシー側の性能改善がシーズン後半にずれ込んでしまった事が原因だ」

今シーズンは後方乱気流の抑制を目的として、マシンのエアロダイナミクスに関するルールが大きく変更された。レッドブルは伝統的に、大掛かりなレギュレーション変更に対して脆弱なところがあり、今季もその傾向は変わらなかった。

レッドブルのF1マシンとしてホンダ製パワーユニットを初めて搭載したRB15は、序盤で大きく出遅れメルセデスとフェラーリに水をあけられた。だが、ファクトリーで開発された数々のアップグレードによって、シーズンを経るに従って大きく改善。最終的にはフェラーリを後方に従え、メルセデスと真っ向勝負を演じられるまでにパフォーマンスを引き上げた。

出だしで遅れた2019年。横並びの状態でスタートする2020年。ヘルムート・マルコは、来季は開幕オーストラリアGPから優勝争いが望めるはずだと息巻く。

「(5勝出来なかったのは)2019年シーズンのスタートが悪かったが故の結果の一つだが、我々は最終戦までに、技術面においてライバルに追いついた。来シーズンは開幕からすべてが上手く機能するはずだ。我々の関心はもう既に、来年の新車に100%向けられている」

2020年のシーズン前テストを終えた時、ヘルムート・マルコは一体「何勝」を口にするのだろうか。