ピエール・ガスリーのヘルメットと壁にプリントされたカーナンバー10、F1バルセロナ合同テスト
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F1バルセロナテスト《7日目》総合結果:アルボンが2番手と健闘も、レッドブル・ホンダに試練強襲

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2019年シーズン開幕前F1バルセロナテスト7日目のセッションが、2月28日(木)にスペインのカタロニア・サーキットで開催された。気温6℃、路面8℃のドライコンディションで現地9時にグリーンフラッグ。正午には気温21℃、路面30℃まで上昇し、上空には青空が広がったものの、トラック上は荒れ模様となった。

テスト後半に突入して以降、スクーデリア・フェラーリとメルセデスAMGに立て続けに試練が襲いかかった中で、ビッグ3の一角レッドブル・ホンダは無傷のままテスト1の好調を維持していた。だが、この日はミルトンキーンズのチームガレージにため息が漏れた。

ガスリーがクラッシュ…マシン大破で終了

午前のセッションで4番手タイムを記録したピエール・ガスリーは、昼休みを経てレースシミュレーションを敢行。C3コンパウンドで1分24秒前後のスティントを刻んだ後にピットイン。C2コンパウンドに履き替えコースインしたのも束の間、その3周後に高速のターン9でクラッシュを喫した。現地15時半の出来事であった。

バルセロナ合同テスト7日目午後にターン9でクラッシュを喫したレッドブル・ホンダのピエール・ガスリー
© F1

リアウイング、リアサスペンション周りは大破し、RB15は無残な姿へと変貌。幸いにも本人に怪我はないようで、メディカルセンターで身体チェックを受けた後、歩いてパドックへと戻ったが、マシンが再びコース上に戻ることはなくトータル65周。明日はマックス・フェルスタッペンがステアリングを握るため、ガスリーにとっては厳しい形でのテスト閉幕となった。

その一方で、ホンダRA619Hを搭載するもう一台のマシンが奮起。C5コンパウンドを使って今季テストで16秒台一番乗りを達成し、最終2番手タイムを記録したアレックス・アルボンが計118周を走破。ホンダにとっては、2チーム体制の恩恵を初めてトラック上で痛感する一日となった。

帰ってきた跳馬、ルクレールがトップタイム

2日連続でマシントラブルに見舞われ、思うように走り込めていなかった赤き跳馬フェラーリ。遅れを挽回すべく、この日SF90のステアリングを握ったシャルル・ルクレールは、午前中の白熱の最速合戦を制してアルボンを交わし、1分16秒231の今季テスト通算のファステストを叩き出した。

アルボンの野望を打ち砕いたルクレールは、午後のセッションでフルレースシミュレーションを行うなど、大量にマイレージを加算。終わってみれば138周を走り込み、充実した形でテストを終えるかに思われたが、チェッカー20分前にリアから僅かに白煙を履きコース上で停止。最後の最後で赤旗の原因となった。

明日の最終日はセバスチャン・ベッテルが終日走行を担当する。

信頼性に不安を抱えるハースとレーシングポイント

ハースF1は午前にケビン・マグヌッセンを起用。53周とまずまずのマイレージを稼いだものの午後は一変。VF-19はエキゾーストに問題を抱え、コース上に出たのはセッション終了一時間を切ってから。午後を担当したロマン・グロージャンは僅か16周に終わった。

午後に振られた3回の赤旗の内の一つは、レーシングポイントのランス・ストロール。周回中に突如ターン9でマシンストップ。メカニカルトラブルと思われる。トータルで103周を計上したのは朗報だが、セルジオ・ペレスが嘆いている通り、RP19の周回不足は明らかだ。

着実に前進するルノーとメルセデス

目立たないながらも、ルノーとメルセデスは一歩一歩着実に前進している。午前と午後の2交代制という事もあり、個人のラップ数が目立つことはなく、また硬めのコンパウンドで黙々と周回を重ねるため、彼らがタイムシート上を暴れまわることはない。

だが、よくよく見ればメルセデスはルイス・ハミルトンとバルテリ・ボッタス合わせて驚異の182周を走り込み、ルノーもまた138周を走りきった。ハミルトンの自己ベストとなった18秒097は、硬いC2コンパウンドでの計測。タイムシート上位に名を連ねた面々と同じC5を履いていたとすると、ルクレールを交わしてトップに躍り出る計算となる。

燃料搭載量が不明ながらも、ルノー勢は今回初めて二人にC5タイヤを履かせ、ダニエル・リカルドが5番手。ニコ・ヒュルケンベルグが6番手をマークした。

個人最多ラップを記録したジョージ・ラッセル

テスト参加の遅れを取り戻すべく、ウィリアムズはジョージ・ラッセルを起用。個人としてはこの日最多となる140周を走り込んだ。テストでの走行不足は、一年を通してボディーブローのように響いてくる。シーズン序盤は厳しい状況に直面するだろうが、テスト2に入って3日連続での100周超えは疑いなく朗報だ。

マシンの開発遅延が発覚して以降初めて、この日はテクニカル・ディレクターのパディー・ロウがメディアセッションに登場した。責任を問われたロウは「問題が発生した時に人事交代を行う習慣がある事は分かっている。だが、私はF1を観察していて、強いチームはそういう事をしないということに気がついた」と述べ、今は目の前の問題を解決することに集中すべきとの見解を示した。

F1合同テスト《7日目》総合結果

Pos Driver Team Time Tyre Laps
1 シャルル・ルクレール フェラーリ 1:16.231 C5 138
2 アレックス・アルボン トロロッソ・ホンダ 1:16.882 C5 118
3 ランド・ノリス マクラーレン 1:17.084 C5 84
4 ピエール・ガスリー レッドブル・ホンダ 1:17.091 C5 65
5 ダニエル・リカルド ルノー 1:17.204 C5 65
6 ニコ・ヒュルケンベルグ ルノー 1:17.496 C5 73
7 ランス・ストロール レーシングポイント 1:17.556 C5 103
8 アントニオ・ジョビナッツィ アルファロメオ 1:17.639 C5 71
9 ロマン・グロージャン ハース 1:17.854 C4 16
10 ルイス・ハミルトン メルセデス 1:18.097 C2 85
11 ジョージ・ラッセル ウィリアムズ 1:18.130 C5 140
12 ケビン・マグヌッセン ハース 1:18.199 C3 53
13 バルテリ・ボッタス メルセデス 1:18.862 C3 97