ピエール・ガスリー、今も母国に帰れず…ドバイでのロックダウン生活で禁欲的トレーニング
アルファタウリ・ホンダのピエール・ガスリーは新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響で開幕オーストラリアGPが中止された後、バーレーンGPへの中継地として滞在を予定していた中東のドバイに飛んだ。だが、カレンダーが事実上凍結されてなお未だに、両親が住むフランスや住まいのあるイタリアには帰らず、ドバイにとどまっている。
「状況を踏まえて、自分が住んでいるイタリアに戻ることも考えたけど、すでに空港が閉鎖されていたしそれは不可能だった」とガスリー。4月15日に行われたチームのライブストリーミングでこう説明した。
「家族がいるフランスに戻ることも出来なかった。でも、リスクを冒してまで戻って家族に会いたいとは思わなかったし、僕の両親は…60歳を超えてるから、ここに留まるのが最善だと思ったんだ」
ドバイはアラブ首長国連邦の一都市で、絢爛豪華な商業施設や天まで登る高さ828mの「バージュ・カリファ」、活気あふれるナイトスポットなどで知られるバカンスの地だ。だがガスリーは、決してワイングラスを片手に優雅な一時を過ごしているわけではないという。
「今は6日間連続でトレーニングをして、その後1日だけ休むようにしてる。半分は有酸素運動、もう半分はウエイトエクササイズだ」とガスリーは説明する。
「他のスポーツのように150キロを持ち上げたりする必要はない。フォーミュラ1では心肺機能が必要とされるから、僕らはかなりの時間をランニングやサイクリングに費やすんだ」
アラブ首長国連邦政府は3月26日から夜間外出禁止令を開始し、ドバイ政府は更に対策を強化して4月6日からロックダウンを実施している。やむを得ない場合を除いて外出は禁止され、食料品の買い出しであっても事前に許可を取る必要があるなど、非常に厳しい措置が取られている。
フィジオとともに滞在先に閉じ込められたガスリーは、いまだかつてないほど厳しい食事制限を自らに課しているという。
「一緒に滞在しているパイリーとトレーニングキャンプをやろうと思っていて、かなりハードなトレーニングをしてるんだ」とガスリー。
「食事の面も同じだ。これほど厳しいものは今までに体験した事がない。もっともっとフィットネスを改善しようと頑張ってる」
「野菜をたくさん食べて、炭水化物と糖質をたくさん減らしてる。砂糖はほぼゼロだね。後はたんぱく質を増やすようにしてるかな。パイリーは素晴らしいシェフで最高の料理を作ってくれるから、時々彼の手伝いをするようにしてるんだ」
なんと禁欲的な生活だろう。ガスリーは仕事一筋のバカ真面目なドライバーなのだろうか?
そんな事はない。ガスリーはNetflixで人気のTVシリーズ「オザーク」を見たり、ゲーム機でコール・オブ・デューティシリーズをプレイしたりしていると明かした。だが残念ながら、ドバイには自前のハンコン(ステアリングコントローラー)を持ち込んでいないため、ガスリーがF1バーチャルGPを始めとするシムレースに参戦する事は期待できないだろう。