モンツァ・サーキットの旧オーバルバンク
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失われた伊モンツァ・サーキットのオーバルコース、53年ぶりに復活の可能性

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F1イタリアGPの舞台として親しまれている”スピードの殿堂”、モンツァ・サーキットの失われたオーバルコースが53年ぶりに復活を遂げる可能性が出てきた。同国のモータースポーツ界は、モンツァ開業100周年を迎える2022年に向けてコースと施設の改修を計画している。

モンツァ・サーキットは世界で3番目に古いレース専用トラックとして1922年に開業した。現在は5.793kmのロードコースのみが残っているが、当初は5.5kmのロードコースと21度バンクの2つのコーナーを含む4.5kmの高速オーバルを組み合わせた全長10kmのコースだった。

モンツァ・サーキットのウォールに描かれたオーバルを含むコースレイアウト図
モンツァのウォールに描かれたオーバルを含むコースレイアウト / © Alfa Romeo Racing

1928年のエミリオ・マテラッシのクラッシュによる20名以上の死亡事故を機に、安全性の観点からモンツァは幾度もの設備改良とレイアウト改修が行われてきた。オーバルコースに関しては、F1ではフォン・トリップスを含む14名の死者を出した1960年を以て使用されなくなり、1969年を最後に完全に姿を消した。

ANSA通信が伝えたところによると、イタリア自動車クラブ(ACI)のアンジェロ・スティッキ・ダミアーニ会長はこの程、Rcsアカデミー主催のオンラインイベントの中で、モンツァが持つオーバルを歴史遺産としてのみ運用するのではなく、実際にレースが開催出来るように復活させたいとの意向を明らかにした。

今は使われていないものの、バンクや昔のグランドスタンドは今もなお国立公園の敷地内に史跡として現存している。

荒廃したモンツァ・サーキットのオーバル区間のバンク
荒廃したオーバル区間 / © Alfa Romeo Racing

費用についてダミアーニ会長は、改修はモンツァの100周年記念事業として行うものであり「国のイベントであって地方の行事ではない」等として、イタリア政府に対して資金援助を求めた。ACIはオーバル以外にも、新しいグランドスタンドの建設や立体交差の改修など、2022年に向けて幾つかのプランを検討している。

あらゆる種類のカテゴリーの安全基準を満たし、レースが可能な状態にまでオーバル区間を復活させるには莫大な予算が必要となるが、それだけのコストを正当化できるだけのリターンが見込めるだろうか。実現に向けたハードルは高い。

オーバルを主戦場とするNASCARやインディカーはコスト削減を進めており、ヨーロッパへの進出は期待できそうになく、F1を含めたヨーロッパで行われている各シリーズが、モンツァのオーバルのためだけにエンジニアリング的コストを支払うのだろうかという点にも疑問が残る。

同一方向に周回し続けるオーバルにおいては、イン側よりもアウト側のタイヤ径を大きくするスタッガーと呼ばれる独特のセッティングが施される他、キャンバーやエアロ周りのセットアップにもユニークなノウハウと経験が求められる。

ダミアーニ会長は去る11月18日に94%以上の得票数を獲得して2021年~24年までの再任を決めたばかりであり、3期目に向けて自身の存在感を強く打ち出す狙いがあったとも考えられるが、オーバルの復活は度々言及されてきた事であり、実現を歓迎しないモータースポーツファンは限られるだろう。

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