実は円満退社に非ず? ヴァウルズ離脱でメルセデス内部は険悪ムード…有能エンジニアまで引き連れていった、とマルコ

ピットウォールで腕を組むメルセデスのトト・ウォルフ代表、2021年7月31日F1ハンガリーGPにてCourtesy Of Daimler AG

当人はもとより、メルセデスのトト・ウォルフ代表も戦略担当のジェームズ・ヴァウルズが円満に退社した事をアピールしているが、レッドブルのモータースポーツ・アドバイザーを務めるヘルムート・マルコによると実態はそれとは反対のようだ。

ブラウンGPとメルセデスで計9度のF1コンストラクターズ・タイトル獲得に貢献してきた43歳のイギリス人モータースポーツ・エンジニアは、バーレーンでのプレシーズンテスト開幕3日前の2月20日にヨースト・カピートの後任としてウィリアムズのチーム代表に就任する。

Courtesy Of Mercedes-Benz Grand Prix Ltd.

ジョージ・ラッセルと語らうジェームズ・ヴァウルズ-2018年ハンガリーで行われたインシーズンテストにて

ヴァウルズは「素晴らしい条件」でチームを離れる事になったとしてメルセデスへの感謝を口にし、ウォルフは10年間に渡って共に仕事に取り組んできた「勤勉かつ有能」な部下の門出を祝福したが、マルコによればメルセデス内部の雰囲気は険悪なようで、両者の間には軋轢が生じているようだ。

ドイツのTV放送局「Sport1」とのインタビューの中でマルコは、ヴァウルズの代表着任によりウィリアムズがメルセデスのBチームとなる事を懸念しているか?と問われると「いや、私はまったく違う情報を得ている」と返した。

「ヴァウルズは自らの意思で(メルセデスを)去り、優秀なエンジニアまで引き連れていったと聞いている。私の情報によれば、そのためメルセデスの雰囲気はピリピリしているらしい」

2014年のV6ハイブリッド・ターボ導入以降、メルセデスはコンストラクターズ選手権8連覇を達成し、”絶対王者”の名をほしいままにしてきたものの、2022年シーズンは僅か1勝しか挙げることができず、レッドブルはおろかフェラーリの後塵を拝するまでに後退した。

このような厳しい状況下でのヴァウルズの離脱がどれほどのインパクトになるのかは分からないが、プラスに働く事はないはずだ。

それでもマルコはシルバーアローが依然として2023年のレッドブルにとって最大の脅威になると考えており「いずれ分かることだが、私は今でもメルセデスがタイトル防衛に際しての最大の挑戦者になると考えている」と付け加えた。

例えばポーパシングのような昨季のシルバーアローを苦しめた問題の多くはシーズン終盤に向けて解消されており、”ゼロサイドポッド”は発展途上で、予算上限違反の罰則を受けるレッドブルと比較して風洞及びCFDで許可されるテスト時間が長いなど、2023年に向けてメルセデスにプラス材料がある事は確かだ。

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