英国バンバリーのハースのファクトリーでシート合わせを行うニキータ・マゼピン
Courtesy Of Haas

ニキータ・マゼピンに許されるは僅か1日半、開幕F1バーレーンGPに向けた準備は…「エンジニアと何千回もZoomしてきた」

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僅か3日間という限られた時間内に全ての準備を整えなければならないという点で、今年のルーキーは例年以上に大きな課題を抱える事になる。

2021年シーズンのF1グリッドにデビューするのは角田裕毅とミック・シューマッハ、そしてニキータ・マゼピンの3名だが、角田裕毅とシューマッハが昨年のアブダビを含めて既に今年所属のチームでテストを経験している一方、マゼピンは一度もハースでドライブしていない。

一昨年まで8日間あったプレシーズンテストは昨年6日間に削減され、今年はこれの半分となる3日間にまで減ってしまった。ハースは3日間のバーレーンテストを午前と午後に分け、各々でドライバーを変更する。

マゼピンにとって、開幕戦までに今季型「VF-21」をドライブできるのは僅か1日半しかない。当人もこれを大きな課題だと捉えている。

「今年は例年に比べてテスト時間が大幅に短縮されているから、ルーキーにとって特に困難な挑戦になる。1分たりとも無駄にはできないし、限界を超えないように限界を探っていく必要がある」とマゼピンは語る。

「走行時間を失う事なく済むよう、運に恵まれる事を祈っている」

ミック・シューマッハとニキータ・マゼピンが駆るハースF1チームの2021年型F1マシン「VF-21」のレンダリングイメージ (5)Courtesy Of Haas

ミック・シューマッハとニキータ・マゼピンが駆るハースF1チームの2021年型F1マシン「VF-21」のレンダリングイメージ (5)

「VF-21」の堂々たる”ウラルカリ”のロゴに象徴されるように、マゼピンはこれまで、父ドミトリーの強大な財政支援を元に、V6ハイブリッド時代の絶対王者メルセデスに二桁億円を支払うことで、これまでに幾度となくメルセデスF1マシンでテストを繰り返してきた。

だが、ハースとメルセデスではマゼピン曰く「ステアリングホイールのレイアウトやセットアップの名称、操作」などが全く異なる仕様であり、VF-21のパフォーマンスを引き出すには時間が掛かると言う

「時間が許す限り、新しいクルマに慣れるよう努力する必要がある。このマシンには僕に合わせて作られた新しいコンポーネントがたくさんあるが、慣れるには時間が必要だ」とマゼピン。

「フェラーリ製パワーユニットを積むF1マシンには乗った事がないから、コントロールに仕方を学び新しいメカニズムにも適応しなきゃならない」

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)パンデミックの影響で各国が渡航制限を課す中、シューマッハを含むハースドライバー達にとって、新しいチームとの関係を構築し、初めての手順やマシンに慣れる事は間違いなく困難な作業だった。

ライバルチームが軒並み1月中にシート合わせを終える中、ハースが英国バンバリーのファクトリーで2人のシートフィッティングを終えたのはごく最近の事だった。

厳しい条件下での準備を強いられたマゼピンだが、Web会議サービス「Zoom」を使いエンジニアとミーティングを重ねるなどして、できる限りの事をしてきたと説明する。

「冬の間、僕は懸命に作業に取り組んできた。ステアリング上のボタンの位置や機能を学んだりと、エンジニア達と何千回もZoomで話し合ったような気がする」

「ヒールレストやシートなど、僕の体に合ったオーダーメイドのコンポーネントを幾つかチームにリクエストしているから、実際に試してみてどうなるか楽しみだ」

その発言や行動で度々物議を醸すマゼピン。一体コース上でどれだけのパフォーマンスを発揮できるのか。バーレーンテストは3月12日に開幕を迎える。