Q1敗退の余波「ペレスのアウトラップは遅かった」レッドブル・ホンダ、メルセデスのスプリット戦略を警戒
レッドブル・ホンダのクリスチャン・ホーナー代表は、史上初の”オランダ人オランダGPポールシッター”に輝いたマックス・フェルスタッペンのパフォーマンスと重圧への対処を称賛する一方、背後に2台のメルセデスが並んだ状況への戦略的見地からの危機感を示した。
フェルスタッペンはDRSとシフトアップに問題を抱えて約コンマ3秒近くをロスしながらも、タイトルを争うライバルのルイス・ハミルトン(メルセデス)を0.038秒差で退け今季7度目のポールポジションを獲得した。3番手にはバルテリ・ボッタスが続いた。
クリスチャン・ホーナーは「母国の観客の前という非常に大きなプレッシャーを受けながらも、マックスは素晴らしいパフォーマンスで以てオランダ人として初めてオランダGPでポールポジションを獲得してみせた」と振り返った。
「既に多くのレース経験を積み重ねてきたとは言え、近頃のマックスのプレッシャーへの対処の仕方は実に見事で、今日も素晴らしい仕事をしてくれた」
「ここはオーバーテイクが難しいコースであるため、我々は明日のレースに向けて最高のスタートポジションを手にしたという事になる」
誰もが口を揃えて「オーバーテイクは難しい」と評価するように、ザントフォールト・サーキットはコース幅が狭い事に加えて最長のストレートでさえ678mに過ぎず、コース上での追い抜きはかなり難しいとみられている。
そのためレースでのポジションアップはタイヤの性能差やピットストップのタイミングなど、タイヤマネジメントと合わせて戦略面が大きな鍵となる。
クリスチャン・ホーナーは「マックスは後ろに2台のメルセデスを従えスタートする事になる。彼らは戦略を分けてくるだろうから、我々としてはとにかく自分たちのレースに集中することが大切だ」と強調した。
実際メルセデスのトト・ウォルフ代表は、レッドブル・ホンダとは異なり2台が上位につけているため「異なる戦略を駆使する事が可能」であるとして「レース展開を楽しみにしている」と不敵だ。
なおピレリのモータースポーツ部門を率いるマリオ・イゾラはレースでのタイヤ戦略について「1ストップも2ストップもあり得る」としながらも、可能であればチームはハードタイヤを投じた1ストップを狙ってくるはずだと指摘する。
本来であればもう一台のRB16Bを使って先に仕掛けていきたいところだが、セルジオ・ペレスはQ1で16番手にとどまり、痛恨のノックアウトと相成った。
ペレスが敗退を喫したのはピットレーンで渋滞に見舞われ結果としてコースインが遅くなってしまったという点もさる事ながら、コミュニケーション・エラーと言える部分がありながらも、ペレス自身が念入りに準備ラップを走っていたという側面も見逃せない。
暫定8番手につけていたペレスはチームから「ピットを出るのが遅くなったから少しプッシュする必要がある」と伝えられていたが、最終セクターのシケインに到達した際に再びスピードを上げるよう言われてもなお、さほど急ぐ様子は見られなかった。
クリスチャン・ホーナーは「セルジオに関しては、十分に余裕を持ってコースに送り出したものの、誰もがピットレーンでスロー走行していたため、最終的に1秒半という差で計測ラップを開始する事ができなかった」と説明する一方で「彼のアウトラップは少し遅かった」とも語った。
「これほどサーキットが短いのだから、もう少し早く出すべきだったが、もっと速いアウトラップが必要だった事も確かだと思う。彼にはあのラップを始めるのに十分な(前走車との)スペースがあった」
「彼にとってもチームにとっても非常に悔しい展開となっただけに、明日のレースでは何としても巻き返していきたい」
2021年 F1オランダGP決勝レースは日本時間9月5日(日)22時にスタート。1周4,259mのザントフォールト・サーキットを72周する事でチャンピオンシップを争う。