フェルスタッペン、完璧には程遠かった母国ポールラップ…DRSとシフトアップに問題抱え0.3秒をロス
レッドブル・ホンダのマックス・フェルスタッペンは1985年以来初めてF1カレンダーに戻ってきたザントフォールト・サーキットでのオランダGP予選でポールポジションを獲得したものの、そのラップはシフトアップやDRSに問題を抱えた完璧とは言い難いものだった。
フェルスタッペンは最終Q3の1回目のラップで1分8秒923を記録してベンチマークを刻むと、最終アタックではこれを1000分の38秒更新する1分8秒885を刻み、ルイス・ハミルトンを0.038秒差で退けた。
フェルスタッペンが最終アタックで自己ベストを塗り替えていなければ、ハミルトンは全くの同タイムでチャンピオンシップ争いのライバルに並んでいた事になる。FP3までの流れを踏まえると予想以上の僅差となったわけだが、その背景には様々な問題があったようだ。フェルスタッペンは次のように説明する。
「バンピーなターン3の出口で誤ってギアが2速上がってしまい、それまでにコンマ2秒稼いでいたのにターン7までに0.15秒失ってしまったんだ」
「おまけにギアが上がってしまった事でより多くの回生エネルギーを使わなきゃならず、ディレート(回生パワー切れ)が起きてしまった」
問題はそれに留まらない。リアウイングのフラップを寝かせて空気抵抗を低減するDRSも作動していなかった。
「DRSが閉じていた事には気づいていなかったけど、さっきのダブル・アップシフトの件と合わせて理想的な状態じゃなく、かなりのタイムを失ってしまった」
「幸い、ポールポジションを獲得するには十分だったけどね」
クリスチャン・ホーナーは代表はDRSが作動しなかった事で最後のストレート区間で「コンマ1秒からコンマ1秒半」を失った可能性があると認めた。アップシフトの件と合わせるとコンマ3秒ほどのロスがあったものとみられる。
母国観衆の強大なプレッシャーの中、複数のトラブルを抱えながらも僅差でのポールポジションをもぎ取ったフェルスタッペン。その秘訣は何だったのだろうか?
フェルスタッペンは「今回は事前にシミュレーター・セッションをやらなかったんだ。それが鍵になったんだと思うよ!」と冗談を飛ばした。
「ポールが獲れて最高の気分だ。ホームレースだから尚更にね。フィニッシュラインを通る度にみんなが熱狂的に声援を送ってくれていた。グランドスタンドで楽しんでくれてるファンが見れて良かった」
「FP1の段階から既にここでのドライビングを凄く楽しんでいたけど、燃料搭載量が少ない予選でのドライブは信じられない程だった」
「セクター2や最後のバンクコーナーはエンジン全開で最高の感覚だった。ここは高速で流れるようなレイアウトが特徴の古いタイプのコースで、F1マシンのグリップを感じる事ができる。鈴鹿みたいにね。挑戦のしがいがあるからこういうコースは好きなんだ」
「今日はチームワークも最高だったし、昨日に比べてまた一歩前に進む事ができた」
2週連続母国優勝に向けてこれ以上のないスタートポジションを手にしたものの、チームメイトのセルジオ・ペレスはトラフィックに阻まれQ1敗退と援護射撃を期待する事はできず、2番手はルイス・ハミルトン、3番手にはバルテリ・ボッタスと、背後にはメルセデス勢がチャンスを狙う。
「ここはオーバーテイクが凄く難しいから前からスタートする事が重要で、明日はスタートが限りなる。後はタイヤのケアだね」とフェルスタッペン。
「それに新しいコースでのレースは波乱が起きやすいから、その点にも気をつけなきゃならない」
「今日も僅差だったしメルセデスはレースでも手強いはずだ。簡単に勝てるとは思っちゃいない」
2021年 F1オランダGP決勝レースは日本時間9月5日(日)22時にスタート。1周4,259mのザントフォールト・サーキットを72周する事でチャンピオンシップを争う。