メルセデスF1、次戦フランスGPに向け”ブレーキ・マジック”誤操作再発防止へ
メルセデスAMGペトロナスF1チームは第6戦アゼルバイジャンGPで発生した”ブレーキマジック”の誤操作問題を受け、次戦フランスGPに向けて再発防止策を講じる計画だ。
バクー市街地コースでの最終盤、ルイス・ハミルトンはマックス・フェルスタッペン(レッドブル・ホンダ)のクラッシュに伴う再スタート時に、ブレーキを温めるためのモードを誤って起動させてしまい、ターン1で止まり切れずランオフエリアに飛び出した。
メルセデスが内部的に「ブレーキ・マジック」と呼ぶプリセットは、ステアリングホイールの左側に設置されたボタンにより起動する仕組みで、ブレーキバイアスをフロント側にシフトさせる事でタイヤとブレーキを温める事を主な目的とする。
コース毎に設定値が異なるようだが、概ね通常55%ほどのフロント側のブレーキバイアスが90%という異常なレベルに引き上げられる。無論このバイアス値で予選やレースを走る事はできず、また想定もされていないため、通常はフォーメーションラップやセーフティーカーラップの際にのみ使用される。
テクノロジー・ディレクターを務めるマイク・エリオットはノーポイントに終わったバクーでの週末を終えて、2週間後にポール・リカール・サーキットで開催されるフランスGPに間に合うよう、何らかの対策を導入する計画を明らかにした。
マイク・エリオットによるとハミルトンは、「ブレーキ・マジック」を解除してグリッドに着いたものの、ターン1に向けてのセルジオ・ペレス(レッドブル・ホンダ)との首位争いの最中にステアリングを切った際、「意図せず」に”マジックボタン”を押してしまったと説明。ハミルトンは「全てを適切に操作していた」と強調した。
マイク・エリオットは、ハミルトンが「責任の一端を感じている事は分かっている」としながらも、ミスが起こりにくいマシンを提供するのは「チームの義務」であるとして、次戦フランスGPに向けて改善策を持ち込む考えを明らかにした。