メルセデス、未だハミルトンの”奇妙な”最速ラップの理由掴めず「皆目見当がつかない」
メルセデスAMGのエンジニアは、ルイス・ハミルトンが32周オールドのハードタイヤで、F1イギリスGPのファステストラップを刻めた理由を未だに理解できずにいる。
ハミルトンはシルバーストンでのレース終盤に、チームからの2度目のピットイン指示を無視したにも関わらず、性能劣化の進んだ古いタイヤでファイナルラップに1分27秒369の全体ファステストを記録。優勝での20ポイントに加えて、最速ラップでのボーナスポイントを手にした。
F1は今季より、決勝レース中のファステストラップを刻んだドライバーに、1点のエキストラポイントを与えるルールを導入した。これを手にするための正攻法は、燃料が軽くなったレース終盤に、1回余計にピットへと入り、ソフト側の新しいコンパウンドに履き替えることだ。ピットストップによって順位を落とす恐れがないほどに後続とのギャップが開いていれば、かなりの高確率で貴重なポイントを1点余分に得ることが出来る。
実際、ハミルトンのチームメイトであるバルテリ・ボッタスは、ラスト7周でピットへと入り、ソフトタイヤで1分27秒406の暫定ファステストをマークした。だが、奇妙なことに、履きつぶしたタイヤを履いたハミルトンが、最終周にこれを塗り替えた。
ストラテジストのジェームス・ヴァウルズは「実は、ルイスがどのようにして32周目のハードタイヤで最速ラップを記録したのか全く分かっていないんだ」と語った。「彼が履いていたのは最も硬いコンパウンドであり、完全に使い古されたものだった。だが、彼は最後に素晴らしいラップを見せてくれた。どうやったのかは見当もつかない」
2位以下を大きく引き離していたハミルトンは、ボッタス同様に順位後退を伴わないピットストップが可能であった。そのためチーム側は、最終盤に再度ピットインさせる計画を立てていたものの、タイヤの状態に満足していたハミルトンはこれを拒否。コース上に留まって、ファンやライバルだけでなく、同僚の度肝を抜く驚きのタップタイムを記録した。
ハミルトンは自身6度目のタイトル獲得に向けて、前半戦の終わりを前にボッタスに39点の差を付けてチャンピオンシップをリードしている。史上最多タイトルはミハエル・シューマッハの持つ7冠。記録更新まで後2冠に迫るが、ハミルトンのかつてのチームメイトであるジェンソン・バトンは、10冠の可能性すらあると考えている。
「もしルイスがメルセデスに残るのであれば、10度のタイトルの可能性があるはずだが、もしフェラーリに移籍するような事があれば、それでキャリアが終わるかもしれない」
「ドライバーであれば誰だってフェラーリでレースがしたいと思うものだが、真っ当なドライバーであれば優勝チームから競争力のないチームへと移ることはないだろう。ルイスの給料は悪くないはずだから、それについては心配いらないだろうけどね」