成績不振の原因はホンダではなかった?依然として低迷脱せぬマクラーレン、今度は技術チームの大改革に着手
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失望のシーズン開幕を味わっているマクラーレンF1チームは26日(木)、アゼルバイジャンGPの舞台であるバクーにおいて、目標とする表彰台争いへの返り咲きのためにテクニカルチームの再編成に着手した事を明らかにした。
昨年までのマクラーレン・ホンダ第二期においてチームは、信頼性が低く性能面でも劣るホンダのパワーユニットがマクラーレンの製造するグリッド最強のシャシーをスポイルしていると喧伝。欧州を中心に、英国の名門チームの成績不振の原因はホンダにあるとの認識が共有されていた。
ルノーエンジンの搭載によって、表彰台争いはおろか優勝すら可能だとしていたマクラーレン首脳陣であったが、2019年のシーズン開幕を迎え蓋を開けてみれば、マクラーレンではなくホンダエンジンの新たなパートナーであるスクーデリア・トロロッソが速さをみせた。
フランスのルーキー、ピエール・ガスリーは第3戦バーレーンGPで表彰台まであと一つの4位入賞を果たし、ホンダにF1復帰後最高位を献上。マクラーレンとの3年間で成し得なかった成績を、新チーム発足僅か3戦目にして成し遂げてみせた。この事実はパドックに驚きを以て迎えられ、過去3年のマクラーレンの不甲斐ないリザルトが、ホンダの責任のみでない事が明るみに出た形となった。
3強の一角を成すレッドブルとの真っ向勝負の実現を公言していたマクラーレンだが、2度のF1王者フェルナンド・アロンソをもってしてもRB14に対し予選ペースで平均して2秒近い大差をつけられており、厳しい現実を突きつけられている。
チームのスポークスマンは否定しているものの、複数の欧州メディアは今回の再編によって最高技術責任者(CTO)のティム・ゴスが更迭されたとみている。今年55歳になったゴスは、1990年にマクラーレンに入社して以来、同チームのシャシー部門を牽引。空気力学の責任者を務めるピーター・ポロドロモウとマット・モリスと共に設計チームを率いていた。
失望の今季マシンMCL33もゴスの手掛けたマシンであり、チーム代表のエリック・ブーリエは、その真の実力は大型のアップグレードが投入される第5戦スペインGPで明らかになると主張。新型ノーズを含む複数のエアロダイナミクスが導入されると見込まれていたが、更迭が事実であるとすれば、スペックBマシンのパフォーマンスの見通しは暗い。
期待はずれのシーズン開幕を迎えたマクラーレンはバーレーンGP終了後の4月10日、グループ再編と組織変更を実施。F1を運営するレーシング部門はマクラーレン・テクノロジー・グループから独立し、ザク・ブラウンが最高経営責任者(CEO)の座に就く新人事を発表したばかり。復活の狼煙上がらぬまま、F1サーカスは27日(金)より第4戦アゼルバイジャンGPを迎える。