マクラーレンF1、戦略決定プロセスからドライバー除外へ…イギリスGPでのミス認める
F1イギリスGPを経てマクラーレンのアンドレア・ステラ代表は、タイヤ戦略に関して謝った判断を下したと認めると共に、今後は戦略決定にドライバーを関与させず、ピットウォールが主導する方針に改めると示唆した。
ダウンフォースを高めに設定したことが功を奏し、雨の到来を経てランド・ノリスとオスカー・ピアストリは19周に渡ってレースをリードしたものの、マクラーレンはピットストップの際に幾つかのミスを犯した。
チームとしてのミスは2つあった。1つ目はスリックからインターミディエイトに履き替えた1回目のピットストップの際に、ダブルスタックによるタイムロスを嫌い、ノリスの1周後にピアストリをピットストップさせたことだった。
第1スティントの最終ラップで大幅にタイムをロスしたため、ピアストリは2番手から一気に6番手にまで後退した。ピットストップ前の段階では、前走ノリスとのギャップは0.8秒に過ぎなかったが、コース復帰時には18秒以上に拡大していた。
ステラは、最初のピットストップでノリスとピアストリを同じ周に同時にピットインさせなかったことは誤りだったと認めた。
「入り乱れる難しいコンディションの下で様々な判断を下す必要があった。多くは正しかったが、振り返ってみると、違う判断を下すべきだったという部分も幾つかあった」とステラは語る。
「インターミディエイトへの履き替えに向けてピットストップを1周遅らせたことで、オスカーが多くのタイムを失ったことは認めざるを得ない」
「ダブルスタックによるタイムロスを避けたかったわけだが、今にしても思えばそれが正しい判断だったと思う」
2つ目のミスは、インターからスリックに戻した最後のピットストップにおけるノリスのコンパウンド選択だ。
ノリスが首位ルイス・ハミルトン(メルセデス)に合わせてソフトを選んだ一方、同じタイミングでピットインしたフェルスタッペンはハードを装着し、デグラデーションを気にすることなく最終スティントを通してプッシュし続け、残り5周でノリスを交わして2位でフィニッシュした。
最終スティントでミディアムタイヤを装着したピアストリは、チームメイトのノリスより概ね1秒近く速いペースを刻んだ。
「もう一つの判断に関しては、ランドはルイスに合わせるのではなく、ミディアムタイヤに替えるべきだった。ルイスがピットイン後に我々の前に出たとしても、レース終盤に向けて競争力を維持できるタイヤであれば勝負できるチャンスがあったと思う」とステラは語る。
「後から言うのは簡単だ。それらはすべて、成長し、チームとして改善するためのチャンスなのだ」
「全体として見れば、再び表彰台に立てたことはマクラーレンにとって素晴らしいことだし、オスカーも4位でフィニッシュして多くのポイントを獲得することができた。これはいずれのチャンピオンシップにとっても重要なことだ」
ノリスとピアストリのケースに関してはいずれも、チーム無線を通してドライバーとピットウォールとの間で長い議論が行われた。ステラはこれが誤った決定に繋がったとの考えを示した。
おそらくは、ドライバーの意見はあくまでも参考情報の一つとして捉え、決定そのものはピットウォールが下す方針に切り替えるものと思われる。
「オスカーがもう1周早くピットに入るべきであったこと、ランドがソフトではなくミディアムに替えるべきであったこと、そのいずれに関してもピットウォールが判断すべきだった」とステラは語る。
「この責任は我々にある。ドライバーはクルマをコース上に留めて置かなければならず、既に多忙を極めている。ピットウォールはより多くの情報を持っている。こうした判断は我々が下すべきだ」
「我々は成長し、そして学ぶだろうが、競争力を維持し、トップ争いを続けていることに勇気づけられている。勝てたかもしれないという点で、今日は少しほろ苦い1日であったが、結局のところはたくさんの前向きな収穫があったわけで、次のイベントに向けてここから前進していくつもりだ」
2024年F1第12戦イギリスGPでは、2番グリッドからスタートしたルイス・ハミルトン(メルセデス)が3年ぶりのトップチェッカーを受け通算104勝目を上げた。2位はマックス・フェルスタッペン(レッドブル)、3位表彰台にはランド・ノリス(マクラーレン)が続いた。
ハンガロリンクを舞台とする次戦ハンガリーGPは7月19日のフリー走行1で幕を開ける。