可夢偉を最後に不在続く日本人F1ドライバー「夢は諦めていない」と松下信治
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昨年のチャンピオンチームのカーリンから今年FIA-F2選手権へと復帰した松下信治は、小林可夢偉以来初の日本人F1ドライバーになるという野望を諦めてはいない。
「F1への通過点としてF2以上の場所はありません」と彼は断言する。「ルカ(ギオット)のような経験豊富で速さのあるドライバー達と競い合う事を楽しんでいますし、非常に難しいレースではありますが、僕はこのチャンピオンシップが好きです」
「目標はF1です。そのために戦っているわけですし、F2はそのために最適な場所だと思っていますので、こうしてカムバック出来て本当に嬉しいです。僕はまだ、フォーミュラ1の舞台に立つという夢を諦めていません」
FIA-F2選手権はF1と同じサーキット、同じピレリタイヤで戦うシリーズであり、F1参戦に必要となるスーパーライセンスポイントを稼ぐ上でもまたとない絶好の場所だ。実際、2018年のドライバーランキング上位3名全てが、翌年にF1への昇格を決めた。
松下信治は、2017年にFIA-F2選手権でランキング6位を獲得。一旦日本へと戻り翌年はスーパーフォーミュラに参戦していたが、かねてよりホンダに対してF2復帰を訴え続けてきた。
今季序盤は苦戦が続いたものの、アゼルバイジャンの市街地決戦でポールポジションを獲得。同じストリートコースのモンテカルロでは2位表彰台に上がり、復帰以来の最高の結果を挙げ、次戦フランスに向けて準備を進めている。
「モナコは僕のお気に入りのコースの一つなので、表彰台に上がれて最高でしたし、ファステストラップも記録できたので本当に嬉しいです。混沌としたレースでしたが、冷静に対処することが出来ましたし、チームには本当に感謝しています」
松下信治は復帰に際して、以前所属していたARTではなくカーリンと契約した。両チームともモータースポーツで大きな成功を収めてきたが組織文化は異なる。
「契約は昨年のアブダビ後すぐのことでした。」と彼は振り返る。「カーリンはARTとは違いますね。ARTはトップマシン持つトップチームであり、より組織立ったチームです。カーリンの方が正確性が僕好みの組織といった感じです」
マクラーレンの本拠地として知られる、ロンドン郊外のサリー北西に位置するウォーキングが松下信治の英国本拠地。25歳の彼は、F2の中で最も経験豊富なドライバーの一人だ。
「イギリスでの生活は凄く楽しいです。友達やチームとサイクリングをするのが好きなのですが、私のエンジニアもマウンテンバイクが好きなので、一緒に楽しんでいます」
「カーリンやARTのようなハイレベルなレーシングスタッフと一緒に仕事ができて本当に幸せです。日本と比べるとずいぶん差がありますね」
「僕がレースを始めたのは4歳の時でした。父と一緒に日本グランプリを見に鈴鹿に行ったのですが、そこでミハエル・シューマッハに魅了されてレースを始めました。僕は今25歳なのでレースキャリアは21年ですが(笑)、僕はまだ自分の夢を追いかけて続けています」
全12戦24レースで競い合う2019シーズンのFIA-F2選手権。松下信治は、8レースを終えて26ポイントを獲得しランキング10位。夢の実現に向けてトップとの差を縮めるべく、6月21日にポール・リカール・サーキットで開幕するフランス大会に臨む。