キミ・ライコネン、F1チームに無断で2輪競技…カワサキMXGP代表インタビュー
FIMモトクロス世界選手権に参戦するカワサキ・レーシング・チームMXGPのチームプリンシパルとして2シーズン目を迎えたキミ・ライコネンが、チーム作りや開発状況、新型KX450やF1時代のモトクロスレース活動についてなど、様々な質問に応じた。
現役時代、オフシーズンを利用して盛んにバイクに乗るほどのモトクロス好きとして知られた43歳のフィンランド人は2021年末を以てF1を去ると、昨年、MXGPクラスに参戦するカワサキのチーム・プリンシパルに就任した。
ヨーロッパを中心に南米やアジアなど世界を転戦し、19戦が予定されている2023年シーズン。24歳の若手実力派ライダー、ミッチェル・エバンスを新たに迎えたカワサキMXGPチームは、加入4年目のチャンピオン獲得経験を持つロマン・フェーブルが5連勝と好調だ。
幼少の頃のモトクロス経験について
子供の時にイタルジェットのミニバイクで競技を始めたんだ。あれは50ccのオートマチックバイクで、バランス、マシンの姿勢、スロットルコントロールについて学んだ。
オフロードやMXに対する情熱はこの時に生まれたんだと思う。若い事はあまり2輪のレースに出る事はなかったけど、KX250でクラブレースに出場したこともある。
フィジカル的なMXライディングが与えてくれるチャレンジが好きでね。あれは本当に最高の感覚で、走ったあとはいつも、本当に良い意味で自分自身に挑戦したと思えるんだ。
F1ドライバー時代、モトクロス競技に出る事は許されていた?
時々、小さなクラブレースに参加することはあったけど、あれは単に、楽しむためのものだった。今は自宅に小さなコースを作って子どもたちと一緒に楽しんでいる。
当時はレベルの高いレースには出ていなかったし、フィットネス・プログラムの一環って感じだったんだ。チームがどう思っていたのかは分からない。何しろ彼らには一度もその事を言っていないからね。
チーム作りについて
最初は今と違う人達と一緒にやっていたんだけど、望んでいたような形にはならなくて、2010年頃にアンティ(現MXGPチームマネージャーのアンティ・ピルホネン)と話をしたんだ。
最初は彼をライダーとして雇おうと思っていたんだけど、半年後に引退すると聞いて、チームを運営してもらうためにもう一度電話をかけたんだ。そのおかげで今がある。
僕らはずっとカワサキに戻りたいと思っていた。今シーズンで2年目になるけど、日本の人達やカワサキ・グループ全体と素晴らしい関係を築けている。
カワサキはかなりプッシュしているし、チームやグループの一員としてマシン開発をサポートできるのは素晴らしいことだ。
5連勝という結果について
このために何年にも渡って努力してきたし、当然、勝つのは嬉しいことだけど、浮き沈みががあり怪我が付き物なのがレースという世界だ。
常に勝ちたいと思っているけど5位と優勝の差は僅かだ。勝つことは素晴らしいことではあるけど、逆の方向に進むのが如何に容易であるかを僕は知っている。
カワサキとの最初のシーズンはロマンが怪我をしたこともあってトリッキーだった。今は良い走りを続けて勝ち続けているけどね。
ミッチも力をつけてきてから、そう遠くないうちに2台のマシンでフロントに立つことができばと思ってる。
開発には満足?
そうだね。この2年間は忙しかった。まずは昨年、メーカーを変更してそれから新しいバイクに取り組んだ。バイクが新しくなったから、今年も新車でゼロから再スタートするような感じだったけど、準備はできていたし、今はすべてを思い通りに進めている。
いつだって改善の余地はあるけど、それは理にかなったプロセスでないとね。物事を素早く実行することはできるけれど、上手く機能させる必要があるし、100%望む形にしなきゃならない。それにライダーを満足させるための作業には終わりがない。
新型KX450に乗ってみた?
新しく子供が生まれたから家族のことで忙しく、まだ新しいバイクに乗る機会がないんだけど、できれば今年の冬に乗れたらと思ってる。
実は僕はKX250とKX450を持っているんだ。率直に言ってKX250とKX450の乗りやすさには驚いた。カワサキのバイクに乗るようになって僕のライディングは確実にレベルアップしたよ。
普段使いとしては250の方が良い?
僕は毎日トレーニングしたり乗ったりするわけじゃないから、フィンランドにある自分のコースで走るには250の方がいいね。
450は、もっと大きなコースを走るのに向いているかな。あるいはもっと乗る時間があれば良いのかもしれない。より本格的なマシンだから真剣に取り組まなきゃならないしね。