ドライビング姿勢の変化に表れたDRSトラブルに対するフェルスタッペンの苛立ち
マックス・フェルスタッペン(レッドブル)の父ヨスは、DRSが作動しないトラブルに見舞われた事に対する息子の怒りはもっともなもので、それはドライビングスタイルにも表れていたと語った。
F1スペインGPでは予選に続いて決勝でも1号車RB18にDRSのトラブルが発生した。フェルスタッペンはレースの大半でDRSの恩恵を受けられず、ジョージ・ラッセル駆るメルセデスW13に前を阻まれた。
走りに表れたフラストレーション
フラストレーションを爆発させたフェルスタッペンはチーム無線で「クソッタレ!DRSは何処にいきやがった!俺らはDRSすら使えないのか?クソ、信じられない!」と憤慨した。
またレース後には「ストレートを走行している時に50回くらい連打したんだけど、兎に角、開かなくてね。縁石を避けたり、逆に乗ったり、少し遅めに押したりと、色々と試してみたんだけど、壊れてるんだが誤作動をおこしているんだかって感じで、兎に角、ウイングに問題があったんだ」と振り返り「かなりの犠牲を払った」と付け加えた。
ヨスはDRSが作動しないことに対する怒りがマックスのドライビングスタイルをよりアグレッシブに変化させたとしており、それが逆転優勝の一つの要因になったと考えているようだ。
ヨスはVerstappen.comの中のコラムで「ものすごく暑かったから、ドライバー的にタイヤマネジメントが難しかったのもあるし、それに加えてマックスはDRSシステムが機能しないという問題も抱えていた」と綴った。
「彼の声からは明らかにフラストレーションが感じられた。それはドライビングにも表れていた。走りは少しアグレッシブに、より貪欲に変化した。このドライビングスタイルは過去に彼に多くのものをもたらしてきた種類のものだった」
臨機応援に対応したレッドブル
ヨスはラッセルを追い抜きあぐねた息子の走りに触れて、グランドエフェクトカーとなった今季の新車でさえ、依然としてDRSなしではオーバーテイクが難しい事が確認できたとした上で、臨機応変に戦略を変更したレッドブルの柔軟な姿勢を称賛した。
「レッドブルは実に見事に解決したと言わざるを得ない。彼らは戦略を変えた。第3スティントで再びソフトタイヤを履かせた事で、マックスはプッシュするチャンスを得た。そして彼はリードを奪った」
「レース序盤の彼のフラストレーションは理解できるものだった。トラブルで思い通りにならない事があると不満を口にするタイプだからね。あれは悪いことじゃない」
「彼はチームに対して最大限の努力を求めるけど、それはチーム側も同じだ。だからこそ彼らは共に成功を収めているんだ」
信頼性トラブルの早期解決を要望
レースを大量リードしながらも、シャルル・ルクレール(フェラーリ)がターボチャージャーとMGU-Hの破損によってリタイアを余儀なくされたことに触れてヨスは、モナコで逆の展開になっても不思議はないとして、マシンの信頼性改善をチームに求めた。
「DRSのトラブルが何に起因しているのかについてレッドブルは見当がついていると思う。今回が初めてというわけじゃなかった。必ずや解決策を見つけてくれるはずだ」
「このスポーツはメカに頼っているわけで、何が起こるか分からない側面がある。今週末もそうだったように、我々だけに起こるわけじゃない」
「今はマックスがチャンピオンシップをリードしているからハッピーだけど、来週は別の展開になる可能性もある」
「フェラーリは本当に速い。特に予選では彼らのマシンの方が良い。対してマックスはレースで本当に力強いが、時には彼の思い通りにならない事もある。実際はフェラーリも過去に、彼のリタイアで利益を得ている」
「モナコでもフェラーリが速いだろう。今週末も本当に興味深い週末になりそうだ」
またヨスはフェラーリだけではなく、アップグレードによって本格的に復活の道を歩み始めたメルセデスを軽視してはならないと警告した。
「バルセロナではメルセデスが間違いなく大幅な進化を遂げた事が明らかになった」
「確かに我々とのレースでの差はまだコンマ4秒もあり、彼らがやるべき事はまだ残っているが、我々もじっとしているわけにはいかない」
バルセロナの週末に相次いでDRSにトラブルが発生した事について、チーム代表のクリスチャン・ホーナーやヘルムート・マルコは「野心的過ぎた」軽量化への取り組みが招いた悲劇だと考えており、次戦モナコGPでは1号車のみに投入していた新しい軽量化パーツを元に戻す意向を示している。