マックス・フェルスタッペン駆る2021年型レッドブル・ホンダRB16Bのリバリー
Courtesy Of Red Bull Content Pool

フェルスタッペン、レッドブルV6時代未勝のモンツァでメルセデスに宣戦布告

  • Published:

歴史的に見てF1イタリアGPの舞台、モンツァ・サーキットはレッドブルにとってのアキレス腱だ。1.6リッターV6ハイブリッド・ターボエンジンが導入された2014年以降、ミルトンキーンズのチームがモンツァで勝利した事は一度もない。

エンジン不正疑惑が注目を集めた2019年はフェラーリのシャルル・ルクレールが、そしてレース序盤のセーフティーカー導入によって波乱が生じた2020年はアルファタウリ・ホンダのピエール・ガスリーが勝利しているものの、それ以外は全てメルセデスがトップチェッカーを受けている。

巨大なフェラーリの横断幕が掲げられるモンツァ・サーキットcopyright Ferrari S.p.A.

巨大なフェラーリの横断幕が掲げられるモンツァ・サーキット

だが、RB16Bの競争力向上に確かな手応えを得ているマックス・フェルスタッペンは、セットアップ、戦略、ピットストップの全てを細部にまで完璧に仕上げられれば決して勝てないコースだとは考えていないようだ。

2021年FIA-F1世界選手権第14戦イタリアGPを前にフェルスタッペンは「確かにここ数年、モンツァは僕らが得意とするサーキットじゃなかったけど、今年は競争力が高まっているからどうなるかは分からない。メルセデス向きだとは思うけどね」と意気込みを語った。

「これまでと同じようにチームとして協力し合って細部にまでこだわっていけば競争力を発揮できると思う。トップスピードという点ではメルセデスにアドバンテージがあるかもしれないけどね」

2011年のF1タリアGPでポール・トゥ・ウインを飾ったセバスチャン・ベッテル(レッドブル・ルノー)はスピードトラップという点では誰よりも遅かった。モンツァでのトップスピードは勝利の必須条件ではない。

モンツァの現行レイアウトは2つのシケインを持つが、その平均速度は驚異の260km/hオーバーを記録する。典型的なストップ・アンド・ゴー・サーキットであり地形も平坦であるため、チームはダウンフォースを極限まで削った特別仕様のエアロパッケージを持ち込む。

「このコースは見た目には簡単そうに見えるけど、実際にラップをまとめ上げるのはかなり難しい。というのも、ローダウンフォースのセットアップを使う一方で長いブレーキングゾーンがあるからクルマがかなり不安定になってしまうんだ」

「ターマックは古く路面はバンピーだけど、イタリアのファンはレースやF1に対して凄く情熱的で、そんな彼らのエネルギーを感じられるのは最高に気持ちいい。もちろん、フェラーリへの声援が多いんだけどね。でも誰もがF1を愛してくれている」

モンツァ・サーキットのホームストレートに集まるティフォシCourtesy Of Pirelli & C. S.p.A.

モンツァ・サーキットのホームストレートに集まるティフォシ

フェルスタッペンは前戦オランダGPでポール・トゥ・ウインを飾り、2戦ぶりにルイス・ハミルトンからドライバーズランキング首位の座を取り戻した。一方のコンストラクターズランキングでは2位と、今もメルセデスに先行を許している。現段階で優位に立っているのどちらなのか?

「互いに大きなアドバンテージがある状況だとは思わない」とフェルスタッペンは語る。

「ザントフォールトでは予選でも決勝でも互いにかなり接近していたし、レースでは終始ルイス(ハミルトン)からのプレッシャーがあったし、コース上でもピットレーンでもピットウオールでも、どんなミスも許されない状況だった」

「最終的には細部が勝敗を分けるはずだ。レースウィークエンドではチーム一丸となってセットアップに取り組み、細かい部分を微調整する必要がある。それが違いを生み出しゲインをもたらしてくれる」

オレンジ色の衣服に身を包むマックス・フェルスタッペン応援団”オレンジ・アミー”、2021年9月5日F1オランダGP決勝レースにてCourtesy Of Red Bull Content Pool

オレンジ色の衣服に身を包むマックス・フェルスタッペン応援団”オレンジ・アミー”、2021年9月5日F1オランダGP決勝レースにて

36年ぶりの開催という事もあり熱を帯びる地元観衆の前でのホームウィンは決して容易い話ではなかった。”オレンジ・アーミー”と呼ばれるフェルスタッペン応援団の中には、ウィレム=アレクサンダー国王を含むオランダ王室メンバーの姿もあった。だがフェルスタッペンはプレッシャーを感じる事はなかったと明かす。

「ホームグランプリはプレッシャーがかかると思われがちだけど、僕にとってはむしろ楽しさの方が大きい。”何かをしなきゃ”と強迫観念に囚われることはない」

「だってF1では常に”何かをしなきゃ”ならないんだからね。つまり何も変わらない。僕にとってはホームレースであろうとなかろうと、プレッシャーという点では何も変わらないんだ」

「もちろん、ホームレースでは誰もが多くを期待しているから、それを実現できて、特にロイヤルファミリーの前で勝つ事ができたのは嬉しいけど、それはチーム全体が素晴らしいパフォーマンスを見せてくれたおかげさ」


イタリアGPの戦いの舞台となるのは、ブルックランズ(イギリス)、インディアナポリス(アメリカ)と並び世界最古の歴史を持つサーキットの一つモンツァ。1周5,793mのコースはカレンダー最高のエンジン全開率を誇る超高速サーキットとして知られる。

昨年のグランプリでは予選10番グリッドのピエール・ガスリー(アルファタウリ・ホンダ)がキャリア初優勝を飾り、2位にカルロス・サインツ(マクラーレン)、3位にランス・ストロール(レーシングポイント)が続く結果となった

今季2度目のスプリント予選が行われるF1イタリアGPは、日本時間9月10日(金)21時半からのフリー走行1で幕を開ける。

F1イタリアGP特集