リアム・ローソン「大きな挑戦」真逆特性のモンツァ、初戦経験活かして進歩目指す
電撃F1デビューから1週間。2023年FIA-F1世界選手権第15戦イタリアGPに向けてリアム・ローソンは、前戦ザントフォールトとはコース特性が真逆のモンツァは自身にとって「大きな挑戦」になるとして、初戦の経験活かして一歩前進したいと意気込んだ。
ローソンは2度の豪雨と赤旗に見舞われ、3台がリタイヤを強いられた狂気のレースでミスを犯さずクルマを無事に持ち帰り、ペナルティや戦略ミスにより後退したチームメイトの角田裕毅の前でフィニッシュした。
特筆すべき何かがあったというわけではなく、またリザルトで上回ったとは言えドライビングで僚友を凌いだというわけでもないが、圧倒的に不足していた準備時間とベテランですら足元をすくわれる難しいコンディションの中での13位完走は評価に値するものだった。
とは言えルーキーであるが故に、レース毎に成長の兆しが見られなければ、この先のキャリアが開ける事はない。ジャッジを下すのが厳格なキャラクターで知られるヘルムート・マルコであれば尚更だ。
FP3以降の急遽登板となったオランダとは異なり、レギュラードライバーのダニエル・リカルドが週末全てを欠場する事が決まっているため、21歳のニュージーランド人ドライバーは準備という点で遥かに恵まれた状況で2戦目に臨むことになる。
「モンツァでは週末に向けて全てのフリー走行で走れるから、準備面ではオランダより良い状態で迎える事ができる。ザントフォールトでは、その前の週末のレースを経て木曜の夜に日本から飛んでくる状況だったからね」とローソンは語る。
「もちろん、こういう事態に備えてできる限りの準備はしてきたつもりだけど、通常であれば殆どあり得ないことだし、まさか本当に起こるとは思ってもみなかったんだ!」
メルセデスのトト・ウォルフ代表が「モンツァのコース特性はザントフォールトとは正反対」と語るように、このレースのためだけの特別なローダウンフォース・パッケージが持ち込まれる事があるほど、チームはモンツァでダウンフォースを極限まで削る。
週末に向けた準備についてローソンは「今週はシミュレーターで作業に取り組んだ。クルマの感触を良くするためにシートをいじったりする必要はあまりなかったけれど、今週末に向けて幾つかの事を検討した」と説明する。
「ダウンフォースがかなり低いから、それに慣れる必要があるし、ここでF1マシンをドライブするのは今回が初めてだから、モンツァは僕にとって大きなチャレンジだけど、どちらかと言えばシンプルなコースだし、これまでに何度か走ったことがあるサーキットでもある」
「いずれにしても、学ぶべきことも改善すべきことも多岐に渡るし、ザントフォールトでの反省点を活かしていきたい」
ファエンツァを拠点とするアルファタウリにとって、イタリアGPは今季唯一の母国レースとなる。イタリアの熱狂的なファンのサポートはよく知られるところで、ローソンは前戦以上のプレッシャーを受けることになるかもしれない。
ローソンは「イタリアのチームの一員としてモンツァに向かうのは特別だろうね」と語る。
「先週末を振り返ると、F1は兎に角、別世界だった。(代役が決まっていない)金曜にサーキットに入った時と、(代役が決定した後の)土曜にサーキットに入った時の違い、特に注目度の高さは経験したことがないものだった」
「ホームレースということで、モンツァでの注目度は更に高くなるんだろうと思う。こんな機会が得られるなんて最高だ。物心つく前からの夢だったから、こういうチャンスが得られて本当に嬉しい。このチャンスを最大限に活かしたい」
考え得る全てのコンディションを経験する事となったオランダGPはローソンにとって非常に難しい週末となったが、逆に言えば一気に経験値を積む機会になったとも言える。
「限られた時間の中で可能な限りの準備を整えてくれるなど、チームのサポートは素晴らしかった。レース中もピエール(レースエンジニアのハムリン)が色んな情報を伝えてくれて、基本的に手取り足取り教えてくれた」とローソンは振り返る。
「おかげでレースがかなり楽になった。もちろん、いつだって改善の余地はあるけどね」
「色んなコンディションに直面する難しいレースだったけど、良い経験になったし、モンツァに向けた準備にも役立ったと思う」
2022年大会はエンジン交換ペナルティにより7番手からスタートしたマックス・フェルスタッペン(レッドブル)が事実上の1ストップ戦略を以て、見事逆転のトップチェッカーを受けた。
74回目の開催を迎えるイタリアGPはスピードの殿堂、モンツァ・サーキットを舞台に、日本時間9月1日(金)20時30分からのフリー走行1で幕を開ける。予選と決勝を含めた全セッションはDAZNとフジテレビNEXTで生配信・生中継される。