ピエール・ガスリー、諦めず全てを投げ売って掴んだ初優勝「2位じゃ満足できなかった…」
伝統のモンツァで行われたF1第8戦イタリアGPは、セーフティカー(SC)や赤旗中断を含めて様々なドラマがある波乱の展開となった。そんな混乱を見事に駆け抜け、文字通り全てを投げ売ったアルファタウリ・ホンダのピエール・ガスリーが、チームの母国レースでキャリア55戦目にして念願の初優勝を果たし、ホンダとアルファタウリのパートナーシップ開始から50戦目という記念のレースに華を添えた。
明暗を分けたのは19周目のケビン・マグヌッセン(ハース)のマシントラブルによるイエローフラッグだった。ハースVF-20はピット入口付近で停止。セクター3でイエローフラッグが掲示されると、ピットウォールはガスリーにボックスの指示を飛ばしてハードタイヤに交換。コースへと送り出した。
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この直後にSCが導入されたが、レースコントロールは停車していたマグヌッセンのコース上での位置関係を考慮し、ピットレーンクローズの指示を出した。この影響でライバルチームはピットインする事ができず、SC先導のもとで隊列がまとまってきた頃にようやくピットレーンがオープン。タイヤ交換のために各車続々とピットへと向かった。
ピットレーンが混雑する中、一足早くピット作業を終えて隊列についていたガスリーは、後からピットインしたマシンの前に出る形となり、3番手まで浮上。表彰台圏内に躍り出た。
SC明けにはシャルル・ルクレール(フェラーリ)が最終パラボリカで激しいクラッシュを喫し、レースが一時赤旗中断に。この間にガスリーは新品のミディアムタイヤに履き替えて、終盤に向けて気持ちを切り替えた。
スタンディングスタートでレースが再開されると、3番グリッドのガスリーはランス・ストロール(レーシングポイント)をオーバーテイクして2番手を確保。ピットレーンクローズの中でピット作業を行ったとして、首位のルイス・ハミルトン(メルセデス)にストップ&ゴーペナルティーが科された事で、ガスリーは残り26周で首位に立った。
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— Formula 1 (@F1) September 6, 2020
リスタート後のガスリーは、後続との差を広げながら快走をキープするも、残り15周に差し掛かった頃から2番手のカルロス・サインツ(マクラーレン)が猛追。最後の数ラップでDRS圏内への進入を許すが、ガスリーはプレッシャーを跳ね除けミスなくチェッカーまで走りきり、最後は0.4秒差でサインツを抑えて、見事キャリア初のF1優勝を成し遂げた。
53周に及んだ長き戦いを終えたガスリーは、チームやホンダ、ファンへの感謝の言葉を口にした。
諦めず全てを投げ売って掴んだ初優勝
ピエール・ガスリー決勝: 1位, グリッド: 9番手
本当に最高だ!言葉にならない!信じられない気分だよ!
この1年半の間に本当に色々な事があったけど、今日の結果は全く予想していなかった。スクーデリア・アルファタウリに戻って以来、僕は懸命に仕事に取り組み、1日ずつ、そしてレース毎に成長し、1歩ずつ強くなっていった。
チームは昨年のブラジルGPで僕に初表彰台をもたらしてくれたけど、今日は彼らのホームであるイタリア、しかもモンツァで、僕にF1での初勝利を与えてくれた。
僕は決して諦めたりせず、F1で成功するためにすべてを捧げて戦ってきた。そして今日、最高の1日を手にする事ができたんだ!
最終盤にトップを走行していた時、もしもこのポジションを失ったらどれだけ悔しいかを想像した。2位だったら満足できなかった。簡単じゃなかったけど持てる力を全て出し切った。
リスタートの時は後続の連中にスリップストリームを与えないように激しくプッシュした。最後の5周はあまりに切迫した戦いだったから、10回位はあやうくミスしそうになってしまった…でも、とにかくプッシュし続けたよ!タイヤは摩耗しきっていたけど、どうしても勝ちたかったんだ。
自分がF1のレースウィナーだなんて、まだ不思議な気分だ。現場とファエンツァ、バイチェスターのファクトリー全員に心から感謝したい。みんなにとって最高の一日になった。チームの本拠地のファエンツァの本社メンバーは殆どがイタリア人だから、その意味でもイタリアでの優勝は格別だ。
みんな本当にありがとう。
9月6日(日)にモンツァ・サーキットで行われた2020年F1第8戦イタリアグランプリ決勝レースでは、10番グリッドからスタートしたピエール・ガスリー(アルファタウリ・ホンダ)が波乱のレースを制してキャリア初優勝を飾った。2位はカルロス・サインツ(マクラーレン)。3位表彰台にはランス・ストロール(レーシングポイント)が滑り込んだ。