優勝を飾ったチップ・ガナッシのアレックス・パロウ、2021年6月20日インディカー・シリーズ第9戦ロード・アメリカ決勝レースにて
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インディカー第9戦 決勝:最終盤の激震経てパロウ2勝目!佐藤琢磨は躍進8位「最高に楽しかった!」マグヌッセンは苦い代役戦に…

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インディカー・シリーズ第9戦REVグループGPの決勝レースが6月20日、ウィスコンシン州エルクハートレイクのロードアメリカで開催され、アレックス・パロウ(チップ・ガナッシ)が残り2周でジョセフ・ニューガーデン(チーム・ペンスキー)を抜き去り今季2勝目を飾った。

チップ・ガナッシのドライバーとしてはディクソンを除き、2011年のダリオ・フランキッティ以来、1シーズンに2勝以上を挙げたドライバーはこれまで存在しなかった。

パトリシオ・オワード(マクラーレンSP)が9位に終わった事から、4月18日のバーバー・モータースポーツ・パークでの開幕戦以来の勝利によってパロウはシリーズランキングでオワードを逆転。28ポイント差で首位に返り咲いた。

2位はコルトン・ハータ(アンドレッティ)、3位は2014年のシリーズ王者ウィル・パワー(チーム・ペンスキー)という結果となった。

表彰台に上がったアレックス・パロウ、コルトン・ハータ、ウィル・パワー、2021年6月20日インディカー・シリーズ第9戦ロード・アメリカ決勝レースにて (1)Courtesy Of INDYCAR

表彰台に上がったアレックス・パロウ、コルトン・ハータ、ウィル・パワー

5番手からスタートして55周中5周をリードしたパロウは「確かに運が良かった部分もあるけど、ペースが良かったから本当に最高の気分だ」とレースを振り返った。

「これまでにもインディのロードコースやデトロイト、インディ500など惜しいところまでいったレースが何度があったけど、今日は絶対勝たなきゃダメだって思ってたんだ。勝利は勝利。いつだって最高に気分が良いものさ」

この日は4回のフルコースコーションが出されるなど荒れた展開となり、残り2周にも劇的ドラマが待ち構えていた。

ポールポジションからスタートしたニューガーデンは、この日最多となる32周のリードラップを刻み、54周目のリスタートまでトップを維持していたが、グリーンフラッグが振られると同時にギアボックスに問題が発生。ターン1を前にパロウに抜かれると、そのままズルズルと後退していき21位フィニッシュと悲劇的な結果を迎えた。

なおチーム・ペンスキーはデトロイトでのレース1でも同じ様に、レース終盤の赤旗中断後に先頭のウィル・パワーがエンジントラブルに見舞われ勝利を失っている。

2021年6月20日インディカー・シリーズ第9戦ロード・アメリカ決勝レースの様子Courtesy Of INDYCAR

2021年6月20日インディカー・シリーズ第9戦ロード・アメリカ決勝レース

レイホール・レターマン・ラニガン・レーシングの佐藤琢磨は20番グリッドからスタート。1周目に3ポジションアップの17番手に浮上するも、コーナー・デイリー(エド・カーペンター)との接触が審議となりポジションを戻すよう命じられた。

接触によって左リアカウルとフロントウイングが破損。コンマ4・5秒程度のパフォーマンスダウンを抱える厳しい戦いを強いられたが、16周目にジミー・ジョンソン(チップ・ガナッシ)が左フロントを芝に落として単独クラッシュを喫した事で1回目のフルコースイエローが出され、この間にピットで簡易的な修復作業を行った。

この結果、最後尾23番手に後退するも、23周目にマーカス・エリクソン(チップ・ガナッシ)が左リアを芝に落としてスピンを喫すると、2度目のフルコースイエローに。ピットオープンと同時にケビン・マグヌッセン(マクラーレンSP)と佐藤琢磨を除く全車がピットイン。2番手に浮上した佐藤琢磨は31周目にマグヌッセンをオーバーテイクしてラップリーダーに躍り出た。

ラップをリードするマクラーレンSPのケビン・マグヌッセン、2021年6月20日インディカー・シリーズ第9戦ロード・アメリカ決勝レースにてCourtesy Of INDYCAR

ラップをリードするマクラーレンSPのケビン・マグヌッセン

インディカーデビュー戦で6周のリードラップを刻んだマグヌッセンだが、34周目にエンジントラブルに見舞われコース脇にマシンを停めた。これにより3回目のフルコースイエローが出された。

38周目にリスタートを迎えると、佐藤琢磨は残り7周でピットに入りレッドタイヤに履き替え14番手でコースに復帰。この後、大きな追い風を受ける事になる。

残り4周という最終盤に左リアが折れたエド・ジョーンズ(デイル・コイン)がクラッシュ。4度目のフルコースイエローが出され、全てのギャップが整理された。

残り2周でリスタートを迎えると、佐藤琢磨はレッドタイヤの優位性を活かして僚友グレアム・レイホールをパスして10番手に。その後マックス・チルトン(カーリン)とオワードを立て続けに交わすと、12ポジションアップの8位フィニッシュを飾った。

佐藤琢磨は「スピード不足で20番手からのスタートでしたが、素晴らしい戦略のおかげでカムバックすることができました」とレースを振り返った。

「デイリーには申し訳ないと思っています。深く入り過ぎてしまったのは僕の責任です。クルマにダメージを負ったため、サイドウイングをダクトテープで補修しましたが、ドラッグという点でハンデを抱える事になりました」

「(最終盤の)リスタート後のスプリントレースは最高に楽しめました。ペース不足に見舞われていた事を思えば、8位というのは非常に良い結果だと思っています。チームのみんなも本当に素晴らしい仕事をしてくれました」

「シーズンの半分を消化しましたが、とくかく残りのシーズンも前に向かってプッシュし続けるつもりです」

フェリックス・ローゼンクビストの代役参戦を不運なリタイヤで終える事となったマグヌッセンは「今週末は本当に楽しい経験をさせてもらった。チャンスを与えてくれたアロー・マクラーレンSPに心から感謝している。フェリックスの一日も早い回復を祈ってる。トラブルで完走できなかったけど、笑顔でこの場を後にしたいと思う。とても楽しい経験をさせてもらった。関係者全員に感謝の気持ちを伝えたい」と語った。

ハイライト動画

2021年ロード・アメリカ決勝結果

Pos. Start Driver Gap
1 5 アレックス・パロウ
Chip Ganassi
–.—-
2 2 コルトン・ハータ
Andretti
1.9106
3 4 ウィル・パワー
Team Penske
2.9853
4 13 スコット・ディクソン
Chip Ganassi
3.9048
5 7 ロマン・グロージャン
Dale Coyne
4.7136
6 18 マーカス・エリクソン
Chip Ganassi
5.1806
7 9 アレキサンダー・ロッシ
Andretti
7.7219
8 20 佐藤琢磨
RLL Racing
7.9145
9 10 パトリシオ・オワード
McLaren SP
9.0243
10 22 マックス・チルトン
Carlin
9.3733
11 14 グレアム・レイホール
RLL Racing
9.8027
12 16 オリバー・アスキュー
Ed Carpenter
11.3019
13 8 ライアン・ハンター=レイ
Andretti
11.9378
14 17 スコット・マクラフラン
Team Penske
12.1930
15 19 ジェームズ・ヒンチクリフ
Andretti
13.9479
16 11 セバスチャン・ブルデー
A.J. Foyt
14.1169
17 3 ジャック・ハーベイ
Meyer Shank
15.5945
18 6 シモン・パジェノー
Team Penske
16.4614
19 25 コーディー・ウェアー
Dale Coyne
16.9933
20 15 コナー・デイリー
Ed Carpenter
17.5558
21 1 ジョセフ・ニューガーデン
Team Penske
1:30.7894
22 23 ジミー・ジョンソン
Chip Ganassi
1 lap
23 12 エド・ジョーンズ
Dale Coyne
5 lap
24 21 ケビン・マグヌッセン
McLaren SP
22 lap
25 24 ダルトン・ケレット
A.J. Foyt
36 lap

第9戦消化時点でのポイントランキング

第9戦出走者を対象に、レース結果を受けてのポイントランキングを以下にまとめる。

Pos. Driver Pts. Total Gap
1 アレックス・パロウ
Chip Ganassi
51 349 0
2 パトリシオ・オワード
McLaren SP
22 321 -28
3 スコット・ディクソン
Chip Ganassi
33 296 -53
4 ジョセフ・ニューガーデン
Team Penske
13 261 -88
5 シモン・パジェノー
Team Penske
12 255 -94
7 コルトン・ハータ
Andretti
40 242 -107
8 マーカス・エリクソン
Chip Ganassi
28 239 -110
9 グレアム・レイホール
RLL Racing
19 228 -121
10 佐藤琢磨
RLL Racing
25 206 -143
11 ウィル・パワー
Team Penske
35 204 -145
12 スコット・マクラフラン
Team Penske
16 180 -169
13 アレキサンダー・ロッシ
Andretti
26 171 -178
14 ジャック・ハーベイ
Meyer Shank
13 159 -190
15 ライアン・ハンター=レイ
Andretti
17 139 -210
16 セバスチャン・ブルデー
A.J. Foyt
14 136 -213
17 コナー・デイリー
Ed Carpenter
10 127 -222
18 ロマン・グロージャン
Dale Coyne
30 125 -224
19 エド・ジョーンズ
Dale Coyne
7 120 -229
20 ジェームズ・ヒンチクリフ
Andretti
15 118 -231
25 ダルトン・ケレット
A.J. Foyt
5 86 -263
27 マックス・チルトン
Carlin
21 65 -284
30 ジミー・ジョンソン
Chip Ganassi
8 48 -301
33 オリバー・アスキュー
Ed Carpenter
19 24 -325