腕を組んで作業を見守るレッドブルのチーム代表を務めるクリスチャン・ホーナー、2022年7月31日F1ハンガリーGP
Courtesy Of Red Bull Content Pool

リタイヤもあり得たレッドブルのPUトラブル、フェルスタッペンはクラッチにも問題

  • Published: Updated:

F1ハンガリーGP予選でマックス・フェルスタッペンを襲ったパワーユニットのトラブルについてレッドブル・レーシングのクリスチャン・ホーナー代表は、リタイヤに繋がる可能性があったと説明した。

ポイントリーダーのフェルスタッペンは予選Q3でエンジンパワーが失われる不運に見舞われた結果、10番グリッドからのスタートを余儀なくされたが、ホーナーによるとそれは”不幸中の幸い”だった。

レースDNFもあり得た際どいトラブル

予選でのトラブルを経てレッドブルは決勝を前に、今季3基目となるICE(内燃エンジン)、ターボチャージャー、MGU-K/H、そして5基目のエキゾーストを開封。フェルスタッペンだけでなく僚友セルジオ・ペレスのマシンにもこれらの新しいコンポーネントが搭載された。

レッドブルの指揮官はハンガロリンクでのレースを終えて、これらの交換は予選でのトラブルを受けての措置だと説明した。

そして仮に予選で壊れなかったとしたら、レース前のレコノサンスラップで壊れてレースが台無しになってしまう可能性があったと説明した。

RaceFansによると、ホーナーは「昨日、マックスのクルマの方で損傷したコンポーネントがあったため、パワーユニットを交換する事にしたんだ」と語った。

「こうして後から振り返ってみると、昨日の時点で壊れてくれて本当に運が良かった。というのも、もうあと12キロ保っていたら、グリッドに向かう途中で壊れていた可能性があったからね」

「我々は、ここで修理を行うよりもパワーユニット全体を交換する事を選んだ。そして用心のためにチェコの方も交換した」

具体的な原因については明らかにされていないが、ハードウェアを交換しているところからソフトウェアの問題でなかった事がうかがえる。なおパドックではMGU-Kのトラブルとも取り沙汰されている。

決勝前のダミーグリッドでセルジオ・ペレスを待つレッドブルのクルー、2022年7月31日F1ハンガリーGPCourtesy Of Red Bull Content Pool

決勝前のダミーグリッドでセルジオ・ペレスを待つレッドブルのクルー、2022年7月31日F1ハンガリーGP

レース中にはクラッチに問題発生

結局、フェルスタッペンはハンガロリンクでの70周のレースを無事に完走しただけでなく、怒涛のオーバーテイクショーを披露して大逆転優勝を飾る事となった。

だが、決してノートラブルだったというわけではない。

今年8回目となる表彰台の頂点に上ったフェルスタッペンはレースを終えて「クラッチやアップシフトにちょっとした問題が発生していたし、ドライビングという点では決して最高だったわけじゃないんだ」と明かした。

これについてホーナーは次のように補足した。

「レースの序盤、クラッチに問題が出てしまったため、マックスはマネージする事になった。少しばかり温度が制御できなくなっていたんだ」

「だから、特に1回目のピットストップの後、しばらくの間、カルロス・サインツの背後で様子を見る事にした」

「ただ、クラッチのトラブルを解決してマックスにゴーサインを与えた後は、ものすごいペースを刻んでいた」

予選10番手からの逆転優勝を抱き合って喜ぶレッドブルのクリスチャン・ホーナー代表とマックス・フェルスタッペン、2022年7月31日F1ハンガリーGPCourtesy Of Red Bull Content Pool

予選10番手からの逆転優勝を抱き合って喜ぶレッドブルのクリスチャン・ホーナー代表とマックス・フェルスタッペン、2022年7月31日F1ハンガリーGP

VSCがなければW表彰台

ドライバーズタイトルの連覇を目指すフェルスタッペンはサマーブレイクを前に、開幕からの前半13戦での優勝回数を8回に伸ばし、ランキング2位のルクレールに対するリードを優勝3回分以上に相当する80ポイントにまで広げた。

また、11番手スタートのペレスが5位にまで巻き返した事で、レッドブルはコンストラクター選手権におけるフェラーリに対するリードを82点から97点にまで拡大した。

マックス・フェルスタッペンの勝利を祝うレッドブル・レーシング、2022年7月31日F1ハンガリーGPCourtesy Of Red Bull Content Pool

マックス・フェルスタッペンの勝利を祝うレッドブル・レーシング、2022年7月31日F1ハンガリーGP

ただホーナーは、バルテリ・ボッタス(アルファロメオ)のメカニカルトラブルに伴う最終盤のバーチャル・セーフティーカー(VSC)がなければ、ペレスがカルロス・サインツ(フェラーリ)とジョージ・ラッセル(メルセデス)を交わし、チームとしてW表彰台に上がるチャンスがあったと考えている。

「本当にファンタスティックなレースだった。チームの誰もが最高の仕事をしてくれた。マックスは10番手からの巻き返しは取るに足らないといった風に、少しスピンまでする始末で、桁外れの走りを見せてくれた」

「同様にチェコも素晴らしいレースをしてくれた。もしVSCがなかったら表彰台に上がっていた事だろう」

「我々の勝利において大きな役割を果たしたのは戦略だった。当初はハードタイヤでスタートする予定だったのだが、路面コンディションを考慮して変更する事にした」

「この勝利によって我々は、堅実なリードとともにサマーブレイクを迎えることになるが、それでもまだ改善すべき点は残っている」

「フェラーリは依然として速いし、今日のレースで目にしたようにメルセデスは調子を上げてきている。まだまだこれからだ」


7月31日(日)にハンガロリンクで行われた2022年F1第13戦ハンガリーGP決勝では、10番グリッドからスタートしたマックス・フェルスタッペン(レッドブル)が逆転優勝を飾り、2位にルイス・ハミルトン、3位にジョージ・ラッセルとメルセデスがW表彰台に上がった。

F1はこれより3週間のサマーブレイクを迎える。スパ・フランコルシャンを舞台とする次戦ベルギーGPは8月26日のフリー走行1で幕を開ける。

F1ハンガリーGP特集