沈黙を破るホーナー、ペレスに対するマルコの差別的発言を巡り
モータースポーツ・アドバイザーを務めるヘルムート・マルコの問題発言から11日を経て、レッドブルのクリスチャン・ホーナー代表が遂に沈黙を破り、公の場でチームとしての公式見解を明らかにした。
マルコは前戦イタリアGPの翌日にレッドブル傘下のテレビ局「ServusTV」に出演し、”北米”メキシコ出身のセルジオ・ペレスが集中力を切らす原因を「南米人」である事に求めて非難を浴び、「如何なる国や人種、民族の人々について一般化できるものではないことを明確にしたい」と公開謝罪した。
マルコは英国ミルトンキーンズに本拠を構えるレッドブル・レーシング社の取締役であるものの、チームは一件に関してこれまで公式声明を出しておらず、F1における多様性推進の旗振り役とでも言うべきルイス・ハミルトン(メルセデス)は、レッドブルが十分な説明責任を果たしていないと仄めかした。
マリーナベイ市街地コースで英「Sky Sports」からマルコの発言について質問されたホーナーは「適切な発言ではなかった」と認めた。
「ヘルムートはそのことにすぐに気づき、公の場で、そしてセルジオに直接謝罪した。80歳になっても人は常に人生を通して学び教訓を得るものだ」
「チェコは多くの人から好かれる我々のチームの重要な一員だ。2021年シーズンに際しては、彼と契約を結ぶために私は懸命に努力した」
「我々には世界中に多くのファンがいる。一件については真剣に、責任を持って受け止めている」
「チームやチェコ、F1をフォローしている多くのファンがいる事を強く認識している。今週末は彼にとっての250回目のレースだ。それに集中したい」
内部的に懲罰が下されるのかと問われたホーナーは、マルコはレッドブル・レーシングが雇用している従業員ではないため、答えるべき立場にないと説明した。
「ヘルムートは厳密に言えばグループのコンサルタントであるため、私が答えるべき質問ではない」
「彼はレッドブル・レーシングの従業員ではない。彼はより広範なレッドブル・グループの一員だ。グループは『ServusTV』を通じて謝罪を発表した」
「彼が自身の発言を後悔しているのは知っている。彼は謝罪したし、80歳になっても学ぶのに遅すぎるということはない」
また、F1や国際自動車連盟(FIA)がマルコに対して独自の措置を採るべきかとの質問に対しては「行動規範や倫理規範、競技規定は既に存在している。もちろん、ご想像の通り、我々は先週を通してFIAとFOMと連絡を取り合ってきたが、それは彼らにとっての問題であって、チームにとっての問題ではない」と語った。