2021年3月13日、バーレーン・インターナショナル・サーキットで行われたF1テストの2日目の様子を見守るアルファタウリ・ホンダのフランツ・トスト代表
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アルファタウリAT02 進化の7割はホンダ新型エンジン由来、とトスト代表…レッドブルのタイトル獲得を望む

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ピエール・ガスリーが戦線離脱を強いられた事で、開幕戦でのリザルトはアルファタウリ・ホンダAT02の真のポテンシャルを表すものとはならなかったが、予選でのパフォーマンスを見ても、ファエンツァのチームが今季最大のダークホースである可能性は高い。

コスト削減の観点から、今季レギュレーションはメカニカルコンポーネントの大部分の開発を凍結しているため、チームは新車開発において主に空力面でのパフォーマンス改善に取り組み、これにホンダの最新パワーユニット「RA621H」を搭載した。

バーレーン・インターナショナル・サーキットのガレージでAT02の整備に取り組むアルファタウリ・ホンダのメカニック達、2021年3月26日F1バーレーンGPにてCourtesy Of Red Bull Content Pool

バーレーン・インターナショナル・サーキットのガレージでAT02の整備に取り組むアルファタウリ・ホンダのメカニック達、2021年3月26日F1バーレーンGPにて

非力なパワーユニットの改善によってパフォーマンスレベルを大きく引き上げたフェラーリエンジン勢を除けば、開幕バーレーンGPのデータはアルファタウリ・ホンダがシニアチームのレッドブルに次ぐ2番目の大幅改善を達成した事を示唆している。

アルファタウリ・ホンダを大きく進化させた要素は何なのか? チーム代表を務めるフランツ・トストは、2021年型F1マシンの改善の7割はホンダPUによるものだと考えている。

この冬、チームは何を変え、その改善はどこから来たのか? 母国レースとなるイモラでの第2戦を前に、SPEEDWEEKとのインタビューでこの様に問われたフランツ・トスト代表は次のように答えた。

「シャシーは少しずつ進化しているが、主なアドバンテージはホンダの強力なエンジンにある。改善の70%は日本製エンジン、30%はシャシー由来だと考えている」

同じ”新骨格”のホンダPUを搭載するのはアルファタウリだけではない。シニアチームのレッドブルは1発の速さでもレースペースでもメルセデスを凌駕するパフォーマンスを示していた。

今年のワールドチャンピオンを予想するよう求められたフランツ・トスト代表は「マックス・フェルスタッペンがワールドチャンピオンになってくれたら本当に嬉しい。レッドブル・ホンダは今回、絶好のチャンスを掴んでいる」と返した。

F1バーレーンGP決勝で2位フィニッシュしてパルクフェルメにマシンを停めるレッドブル・ホンダのマックス・フェルスタッペン、2021年3月28日Courtesy Of Red Bull Content Pool

F1バーレーンGP決勝で2位フィニッシュしてパルクフェルメにマシンを停めるレッドブル・ホンダのマックス・フェルスタッペン、2021年3月28日

アルファタウリ・ホンダは開幕バーレーンGPで、ガスリーが5番グリッドという好位置を確保したものの、レース序盤の接触によってフロントウイングが脱落。更に、ニキータ・マゼピンのクラッシュに伴うセーフティーカー導入によってミディアムタイヤが冷えた事もあり、早期の戦線離脱を強いられた。

角田裕毅に関しては、フランツ・トスト代表曰く「タイヤ選択を誤った」事で予選Q2敗退を喫するも、レースでは「完璧なドライビング」を披露して、日本人初となるデビュー戦での9位入賞を果たした。

角田裕毅のポテンシャルについてフランツ・トスト代表は「彼の潜在能力は本当に大きい。そのスピードは非常に速くブレーキングも力強いし、コーナリングも上手い」と評し、「好奇心旺盛で、学習能力も高い」と付け加えた。

また、シーズンを通しての目標については「予選で頻繁にQ3に進出してレースでポイントを獲得し、コンストラクターズランキングで5位に入る事だ」と語り、マクラーレン、フェラーリ、アルピーヌ、アルファロメオが直接のライバルになるとの考えを示した。

チーム代表としての16シーズン目を迎えた今年は史上最多となる23戦が予定されている。疲れはないか?と問われたフランツ・トスト代表は次のように返した。

「レースは嫌いじゃない。もっとあっても良い。すべてはマシンの競争力次第だ。好調ならば全てが楽しく、疲れを感じる事はない」

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