2021年7月18日F1イギリスGP決勝でのルイス・ハミルトンのクラッシュにより大破したマックス・フェルスタッペンのレッドブル・ホンダRB16B
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交換の恐れなし? ホンダF1、フェルスタッペンの事故車搭載エンジンをハンガリーGP”初日”に使用

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マックス・フェルスタッペンの事故車に搭載されていたパワーユニット(PU)の損傷の程度が懸念される中、ホンダF1は第11戦ハンガリーGPの初日フリー走行でこの個体を使用する決断を下した。

イギリスGPの1周目に発生したクラッシュによって、フェルスタッペン駆る33号車RB16Bは約180万ドル、日本円にして約1億9,900万円もの損害を計上する程に深刻なダメージを負った。これは1億4500万ドルという今季コストキャップの約1.2%に相当する非常に大きな金額だ。

51Gという衝撃に見舞われたのは事故の際に搭載されていたエンジンも同様だ。フェルスタッペンはエキゾーストを除いて既に年間上限目一杯の各コンポーネントを使用しており、残り13戦でグリッド降格なしに使用可能なPUは限られている。

前戦を終えた段階での33号車はICE(内燃エンジン)、ターボチャージャー、MGU-K、そしてMGU-Hを2基ずつ、そしてES(バッテリー)及びCE(コントロール・エレクトロニクス)を1基ずつ開封している。レギュレーションで許されているのは各々あと1基だ。

ホンダF1はシルバーストンでの事故を経て、搭載されていたPUをHRD Sakuraに送り徹底的な調査を実施。各々のコンポーネントについて、規約で認められている幾つかのパーツを交換してハンガロリンクに持ち込んだ。

30日のグランプリ初日フリー走行を使って事故の際に搭載していたPUの実地確認を行い、2日目以降に向けて継続使用可能か否かを判断するという。

仮にPU交換の必要性が確認された場合であっても、今週末のイベントでグリッド降格ペナルティを受ける事はないが、そうなった場合、23戦が予定されているシーズン後半での4基目投入は避けられない可能性が高い。

ただし初日プラクティスを使って様子を見るというのは対外的なもので、内々では既に問題ないとの結論が出ているのかもしれない。

レッドブル・レーシングのモータースポーツ・アドバイザーを務めるヘルムート・マルコはF1-Insiderとのインタビューの中で、ホンダは事故時のエンジンに「ゴーサイン」を出しており、グリッドペナルティについて「心配する必要がなくなった」と語っている。

降格の心配が払拭されれば、レッドブル・ホンダにとってハンガリーGPは雪辱を果たす絶好のチャンスとなる。

ハンガロリンクはホンダが過去6勝を誇るコースで、第二期F1参戦においては1986~92年に7戦中5勝を、そして第三期としては2006年にジェンソン・バトンがキャリア初優勝を飾るなど過去に好成績を挙げてきた。

ホンダF1の現場統括責任者を務める田辺豊治テクニカル・ディレクターは前半戦最後の戦いとなるハンガロリンクでのポイントは予選にあると説明する。

「フランス、オーストリア、英国と高速サーキットでのレースが続きましたが、今回の舞台となるハンガロリンクは一転して低速かつテクニカルなサーキットです」

「レイアウトとしてはストレートが短い一方で低速コーナーが多くあるためオーバーテイクが難しく、予選ポジションが非常に重要です」

「また、真夏の暑い中での開催となる事に加えて、車速が遅いことから冷却性能に厳しいのもハンガリーの特徴です」

「F1サマーシャットダウン前最後となるハンガロリンクでのレースを良い形で戦えるように、そして前半戦を良い形で締めくくれるように、十分に準備を進めていきたいと思います」

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