レッドブル・ホンダRB16のエンジンカバーに掲載されたホンダのロゴ、2020年F1イギリスGPにてcopyright Getty Images / Red Bull Content Pool

ホンダF1、予想を凌ぐ進化を遂げたメルセデスのキャッチアップに邁進

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ホンダF1の現場統括責任者を務める田辺豊治テクニカル・ディレクターは、今季のメルセデスは予想を凌ぐ大幅な進化を遂げたとの認識を示し、キャッチアップすべく努力を続けていると語った。

チャンピオンシップ7連覇を目指す王者メルセデスは、レッドブル・リンク及びハンガロリンクでの3戦全てで勝利を収め、第4戦の地、シルバーストーン・サーキットに乗り込んだ。2013年以降、シルバーアローはここで一度たりともポールポジションの座を明け渡した事はなく、初日セッションを見てもその優位性は揺るぎない。

メルセデス製F1パワーユニットを積む3チームを見れば、今季の強さの一因がパワーユニットにある事は疑いない。ピンク・メルセデスこと、レーシングポイント「RP20」はコンスタントに表彰台に上がれるだけの高いポテンシャルを見せつけ、ウィリアムズはグリッド最下位から抜け出してミッドフィールドの一員と見なされている

車体の空気抵抗値が正確とは言えないため一定程度のズレがあるとしながらも、独AMuSはメルセデスとホンダのパワーギャップを30馬力と見積もっている。ルノーのエンジン部門を率いるレミ・タフィンが昨年末時点での見積もりとして挙げていた20馬力という数字を踏まえると、今季はその差が開いた事になる。

イギリスGPのプレスカンファレンスに出席した田辺豊治テクニカル・ディレクターはメルセデスの進化の程度について問われ、驚くレベルのものであったと説明した。

「昨年から今年にかけての彼らの進歩には驚かされました。我々は、どの部分で遅れを取っているのか、どの領域で彼らが我々に先行しているのかについて分析を進めてきました。簡単なことではありませんが、予選並びにレースディスタンスの両面で彼らに追いつくべく、日本とミルトンキーンズのエンジニア達と共に努力を続けています」

チャンピオンシップへの挑戦を掲げながらもメルセデスに完敗した開幕3連戦を終えて、ホンダはレッドブル・レーシング及びスクーデリア・アルファタウリとの合同ミーティングを経てF1第4戦イギリスGPに臨んだ。そこでは一体どのような話し合いが行われたのだろうか?

「過去3戦を振り返るのに良いタイミングでしたし、チームメンバーと会う機会を持つことができ、有意義な時間を過ごす事ができました」と田辺豊治テクニカル・ディレクターは説明する。

「パフォーマンスや過去3戦から学んだ事などについて話し合った後、情報を共有して、今回のシルバーストーンだけでなく、シーズン全体の計画について話し合いました。まだカレンダーが最終決定されていませんので、今シーズン中のパワーユニットの使い方や、レース中のパフォーマンスをどうのようにマネジメントしていくかについて、チームと意見を交換しました」

F1と国際自動車連盟(FIA)は現時点でイモラ・サーキットでのエミリア・ロマーニャGPまでの計13戦の日程を発表しているが、フィナーレには中東での2連戦が計画され、また、ベトナム及びマレーシアでのフライ・アウェイの可能性も残されており、最終的なカレンダーは確定していない。

シーズン全体のレース数が不透明な状況において、ホンダはどのようにパワーユニットの投入計画を立てているのだろうか?

田辺豊治テクニカル・ディレクターは「2020年のスポーティング・レギュレーションとシーズン開幕直前に発行されたTD(技術指令書)に沿って計画を立てています」と補足する。

「TDでは、今シーズン中に2基のPU(ICE)及びERSシステムが利用可能である事が明確にされています。とは言え、最終的なレース数がいつ確定するのかは分かりませんので、現在の状況を評価しながら準備に取り組んでいるところです」

フェルスタッペンは週末に先立って、コンスタントにメルセデスに挑戦するには時間が必要だとの認識を示し、今シーズン中の優勝争いは難しい可能性があるとこぼしたが、イギリスGPの初日プラクティスではメルセデスに迫るレースペースを刻み、少なからずマシンが改善している事を伺わせた。

シルバーストーン・サーキットは全周の約80%区間がエンジン全開のパワーハングリーなサーキットであり、ラップタイムには強力なパワーが欠かせない。カンファレンス前に行われたFP1を振り返った田辺豊治テクニカル・ディレクターは、これまでのところは順調との考えを示した。

「今のところ、ホンダPUを搭載した4台に問題は出ていません。これまでのレースでは何度かトラブルがありましたが、上手く機能している事を確認しています。パフォーマンスという観点では、どのように改善すべきかについて、引き続き(ホンダ単独ではなく)チームと共に懸命に作業に取り組んでいます。今のところは、悪くない感じですね」

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