「彼のジャン・トッドは伝説的だった」ベッテルの”十八番”を懐かしむレッドブル代表ホーナー
Published: Updated:
レッドブル・レーシングのクリスチャン・ホーナー代表は、2022年の最終アブダビGPを以て偉大なるF1キャリアに終止符を打ったセバスチャン・ベッテルの”十八番”を懐かしんだ。
史上最年少F1チャンピオン記録を持つベッテルを語る上で、2010年~2013年までのF1世界選手権4連覇や、史上最年少優勝など、ドライバーとしての比類ない活躍は外せないが、それだけではヘッセン州ヘッペンハイム出身の彼を描写し切る事はできない。
チームの指揮官として共にWタイトル4連覇を勝ち取ったホーナーはアブダビGPの週末、ベッテルとの”色褪せる事のない思い出”を披露するよう求められると次のように述べ、周りを笑いの渦に引き込むモノマネの腕を挙げた。
「彼が我々の元にやってきたのは、歯列矯正をして、おかしな髪型をしていたまだ幼かった頃の事だ。その後、彼はレッドブル・ジュニアとして成長していった」
「受付や秘書のためにチョコレートを持って現れるような、兎に角、本当に人を引き付ける性格の持ち主だった」
「それに誰からも愛されていて、コックニー・スラング(ロンドン訛り)からナイジェル・マンセルまで、本当に幅広いアクセントのモノマネが上手く、彼のジャン・トッドは伝説的だった」
「まさに素晴らしい、それは素晴らしいキャラクターだった」
マーク・ウェバーの後任としてチームに新たに加わったダニエル・リカルドに敗北した後、ベッテルはフェラーリで再びタイトル争いを演じたが、2021年にアストンマーチンに移籍して以降、トップを争うその姿をファンが目にする事は殆どなかった。
ホーナーは「とにかく完璧なプロフェッショナルだ」と述べ、キャリア終盤の成績は決してその輝かしいキャリアを傷つけるものではないと強調した。
「我々は彼と共に4年連続の世界選手権制覇を成し遂げた。2010年のここ(アブダビGP)での最終戦、そして2012年のブラジルGPは目を見張るような、驚異的な思い出だ」
「ここ数年の彼が困難な状況に置かれていた事は明らかだが、それでもなおF1史上最高のドライバーのひとりである彼の功績は損なわれるべきではない」
「そして、それ以上に彼はただただ素晴らしい奴だった。コース外での彼との思い出も多い。彼はよく家に泊まりに来ていたんだ」
「私は田舎の小さな農場に住んでいるんだが、そこの小屋では子羊を産ませていて、ある時彼がそれを見たがったてね」
「農場主と一緒に何頭かの子羊を引っ張り出したんだが、彼の方は羊小屋にいる4度の世界選手権チャンピオンであるセバスチャンが誰なのか見当もついていなかったんだ!」
「あとは、2頭のミニロバを連れて村の中を散歩していた際に、誰かが『あれはシュレックのロバとセバスチャン・ベッテルか?』と思ったのか、道路から飛び出しそうになったのを覚えているよ」
「本当に楽しく素敵な奴だった。F1で彼に会えなくなる事を我々の誰もが寂しく思うだろうね」
ベッテルの”ベストシーズン”について問われたホーナーは次のように答えた。
「彼はどんどん良くなっていった。2010年はギリギリのところでタイトルを勝ち取り、11年は本当に圧倒的で、12年は決して諦めずに決定的なレースで4勝を挙げた」
「その年、ヨーロッパを離れる前の優勝は1回だったが、その後、信じられないような結果を残してみせた」
「そして13年の彼はまさに別次元だった。9連勝というのは狂気の沙汰で、それをもたらした彼の迫力は群を抜いていた」