ぶっつけ本番で成功させた牽引戦術…最終的にはサインツとの「信頼関係」に尽きる、とルクレール
練習なしのぶっつけ本番で行われたフェラーリのスリップストリーム戦術は、カルロス・サインツとの信頼関係なくして成立し得なかった。シャルル・ルクレールはそう考えている。
エンジン交換ペナルティで最後尾スタートとなったサインツは、ミストラルストレート後半からシーニュ(ターン10)にかけてチームメイトにトウを与えた。恩恵を受けたルクレールは2番手マックス・フェルスタッペン(レッドブル)に対してコンマ3秒もの大差をつけた。
互いの車間と走行スピード、タイミングが狂えば返ってラップタイムを失い兼ねないが、二人はフリー走行を使って練習する事はせず、予選Q3の本番一発勝負に打って出た。これがルクレールに通算16回目、今季7回目のポールポジションをもたらした。
予選を終えたルクレールは「実はQ3の前に練習はしていないんだ。Q3の1本目から2本目にかけて、かなり良い仕事ができたって事だね」と語った。
Q3の1回目の計測ラップでルクレールは、フェルスタッペンを1000分の8秒上回るだけだった。ところが最終の2回目にはこれを0.304秒にまで引き上げた。
「適切にやり遂げるのはかなり難しくて、1回目はターン8と9で少し近づき過ぎたせいで少しタイムを失ってしまったんだ」とルクレールは説明する。
「あれは僕の方がベストな方法で走れていなかったせいなんだけど、2回目に上手く修正できた。その結果上手くいって、あのラップに繋がったんだ」
「コミュニケーションという点で良い仕事ができたと思うし、カルロスが助けてくれたおかげで最高の結果になった」
ルクレールは、この離れ業の成否の鍵はサインツとの信頼関係にあったと続けた。
「最後は信頼関係が全てなんだ。つまり、カルロスはある時点でコースを譲ってくれる事になるわけだけど、僕の方はそのタイミングを知らなかったんだ」
「でもカルロスは完璧な判断を下して、ここぞというタイミングで道を開けてくれた」
結果的にポールとは言え、ルクレールは週末を通して自身のドライビングを暑いコンディションに合わせ込む事に苦労し続けていた。
「本当に嬉しいよ。今週末は僕的に、全体としてかなり大変だったからね」とルクレールは語る。
「適切なマシンバランスを見い出し、ドライビングスタイルを合わせ込む事ができず、本当にとんでもなく暑かったから、僅かでもスナップしたりすると、残りのラップが台無しになっちゃう状況だった」
「だから本当に厄介で大変だったんだけど、最後に良いラップが刻めて本当に満足してる」
「それにあのラップはカルロスが助けてくれたラップだしね。最高のチームワークで最高のラップを走る事ができた」
予選はフェラーリの勝利で幕を閉じたが、本番は日曜の決勝レースだ。レッドブルは予選ではなく決勝を見据えて低ドラッグ仕様を決め込んだ。
「レッドブル勢は昨日のレースシミュレーションで本当に、かなり速かったように思うし、一筋縄ではいかないだろうね」とルクレール。
「だからレースを見据えて僕らもクルマに少し手を入れたんだ。上手くいって追い風になることを祈るけど、何にしてもタイヤマネジメントは重要だ」
「オーストリアではこの点で上手くやれたけど昨日は少し苦戦してしまった」
「それでも昨日に比べればパフォーマンス面で大きく前進したと思うし、明日のレースでそれを発揮できればって思ってる」
2022年F1フランスGP予選ではシャルル・ルクレール(フェラーリ)がポールポジションを獲得。2番手にマックス・フェルスタッペン、3番手にセルジオ・ペレスと、後方にレッドブル勢が続く結果となった。
2022年F1フランスグランプリ決勝レースは日本時間7月24日(日)22時にフォーメーションラップが開始され、1周5842mのポール・リカール・サーキットを53周する事でチャンピオンシップを争う。