F1世界選手権争いは決勝レースのリザルトを元に決定される。故に予選結果は見過ごされがちだ。だが、決勝はペナルティや事故、セーフティーカー等、リザルトに与える変数が格段に多く、純粋な速さを計る場合などは予選結果を参照する方が好ましい事もある。

ここでは2022年シーズンの前半戦の予選データを集計し、ドライバー及びチーム別に見えてきた傾向をまとめてみたい。

• 2022年F1前半戦予選データ集計
• 予選パフォーマンス一貫性ランキング
• チーム別予選平均順位
• チームメイト間の予選平均順位差
• 予選チャンピオンシップ

2022年F1前半戦予選データ集計

開幕バーレーンGPから第13戦ハンガリーGPまでのシーズン前半戦の各ドライバー毎の予選結果を以下に集計し、平均順位でソートした。

予選のアベレージが最も良かったのは、7回のポールポジションを獲得したシャルル・ルクレール（フェラーリ）。これに3ポールのマックス・フェルスタッペン（レッドブル）が続く。

ルクレールはエンジン交換ペナルティを受けたカナダを除けば全てトップ3という圧倒的な速さを発揮している。

上記のデータを元に以下、分析していこう。

予選パフォーマンス一貫性ランキング

全21名の中で予選順位のばらつきが最も少ない=予選結果が最も安定しているのはフェルスタッペンで、逆に最も大きかったのはエステバン・オコン（アルピーヌ）だった。

興味深い事にフェルスタッペンの僚友セルジオ・ペレスは全体の15位で、オコンの僚友フェルナンド・アロンソは9位と、レッドブルとアルピーヌに関しては一貫性という点でチームメイト間に大きな開きがある。

なおチームメイトに対して平均順位と一貫性の両面で上回ったのは以下の5名だ。

• マックス・フェルスタッペン（レッドブル）
• アレックス・アルボン（ウィリアムズ）
• ジョージ・ラッセル（メルセデス）
• バルテリ・ボッタス（アルファロメオ）
• フェルナンド・アロンソ（アルピーヌ）

低迷続きのダニエル・リカルドが10位で、チームメイトのランド・ノリスが17位という点も示唆的だ。マクラーレンMCL36の競争力はコース特性への依存度が高く、マッチした場合はノリスがリカルドに大差を付けるという傾向がうかがえる。

この点はハースVF-22も同様で、速い時にはめっぽう速いが、遅い場合は遅い。ただ、ばらつきの程度という点でミック・シューマッハとケビン・マグヌッセンの間に大差がないのはマクラーレンと異なる。

チーム別予選平均順位

予選平均順位をチーム別にまとめてみると、興味深い事にコンストラクター・ランキングと同じ並びとなった。フェラーリとレッドブルの2チームが飛び抜けており、これにメルセデスが孤立したように続く。

中団グループのトップは明確にアルピーヌとマクラーレンで、これにアルファロメオ、ハース、アルファタウリの3チームが続く状況だ。

アストンマーチンとウィリアムズはミッドフィールドからこぼれ落ち、僅差での最下位争いを繰り広げる。

チームメイト間の予選平均順位差

チーム毎にドライバー間の予選平均順位の差を集計した。チームメイト同士で最も差が大きいのはアルファロメオで、ベテランのボッタスがルーキーの周冠宇に4.62位差をつける。

2023年のシート喪失が取り沙汰されているリカルドもノリスとの差が大きいが、アストンマーチンやハース、アルピーヌ、レッドブルのそれと大きな違いがあるわけではない。リカルドが「苦戦」という言葉で語られる背景の一つには期待の大きさがある。

逆に全10チームの中でチームメイト同士の差が最も小さいのはメルセデスで、ジョージ・ラッセルとルイス・ハミルトンとの差は僅か0.69位だった。マシンの競争力という点で、トップ2チームとも、後方中団グループとも大きな差があるというメルセデス特有の事情が一因だろう。

これに続くのはアルファタウリで、2年目の角田裕毅がピエール・ガスリーとの差を1.08位に押さえている。主戦場のミッドフィールドが大混戦である事を踏まえると、この結果は控えめに言っても印象的だ。

予選チャンピオンシップ

ドライバーズランキングと同じ様に上位10台にポイントを与えた場合、どのような並びになるかを計算してみた。実際のランキングより順位が高い場合は、決勝での取りこぼしが多い事を意味する。

ドライバーズランキングでフェルスタッペンに次ぐ2位のルクレールが首位に立った。計259ポイントと、実際のランキングの得点との差はなんと81ポイントに達した。フェラーリの信頼性不足と戦略ミスの大きさを物語る。

決勝で後退傾向が強いのはフェラーリ勢とフェルナンド・アロンソ（アルピーヌ）、ケビン・マグヌッセン（ハース）で、逆にレースで前進する傾向にあるのはレッドブル勢、ジョージ・ラッセル（メルセデス）、エステバン・オコン（アルピーヌ）、バルテリ・ボッタス（アルファロメオ）だ。